1.パーソナル太陽光発電システム (2023.3.26-2023.4.24)

以前から太陽光発電に興味があり、一方でウクライナ戦争から端を発した2022~2023にかけての電気代の異常とも言える高騰から、小規模な(パーソナル)太陽光発電システムの構築に取り組むことにしました。昨今では太陽光発電パネルの価格が大幅に低下し、通販でも簡単に入手することができるようになって、個人でも太陽光発電システムを構築するのが容易になったことも大きな要因です。実際、私もamazonで主要パーツを購入し、自前でシステムの導入を試みたわけです。


太陽光発電キット

主目的が家庭用の生活電源としてでは無いため、さほど大電力を必要としなかったことから、200Wの太陽光パネルでできる範囲のシステムを考えることにしました。発電電力を有効活用するためにバッテリーに充電し、そこから家庭用の電気機器にも給電できるように交流100Vに変換するDC-ACインバーターを備えます。太陽光パネルとバッテリーの間には充・放電制御を担うチャージコントローラーが必要になりますが、これもセットで購入しました。

一口にバッテリーと言っても色々なタイプがありますが、太陽光発電では頻繁に繰り返し充放電を行うことから、ディープサイクルバッテリーと呼ばれるものが主に使われます。バッテリーは使い方によっては寿命が大幅に縮まるため、コストパフォーマンスも含めて選択には慎重であるべきです。鉛蓄電池は安価ですが過放電させると使用不能になるので注意しましょう。また、かなり重いのもネックで、できれば軽量かつ高性能でコストも低下してきたリチウムイオンバッテリーをお勧めします。


バッテリー等の部品類

太陽光発電セット(200W)
・太陽光発電パネル(100W×2)
・チャージコントローラー(20A)*宣伝では30Aとしているが仕様では20A
・接続ケーブル
・リチウムイオンバッテリー(30Ah)
・DC-ACインバーター(500W)

上の3つがキットになっていて、入手時の価格は26700円、バッテリーは15625円、インバーターは8580円でした。トータルで50905円になります(いずれも税込/参考価格)。200Wの発電パネルに対して、バッテリー等かなり大雑把に容量を決定したのですが、結果的に結構良い線での選択だったようです。

もう少し細かく説明すると、バッテリーは高価なことから、システムにマッチした容量のものを推定し、30Ahのリチウムイオンバッテリーとしました。インバーターは接続機器の関係で1000W程度は欲しいところでしたが、発電性能やバッテリー容量を加味して現実的な妥協点を探った結果500Wとしました。当初はバイク用の20Ah鉛蓄電池(シールドバッテリー)を付けていましたが、サイクルバッテリーで無い(商品説明が紛らわしく勘違いした)上に期待したほどの性能を発揮しなかったことから、より充電が早く長時間大電力を放出できるリチウムタイプに変更しています。

今回の太陽光発電システムは、当初の計画では庭の水遣り等をコントロールするためのマイコン(Raspberry Piを採用)と付随する制御機器(電磁弁他)の電力がまかなえれば良いという考えでした。これだとさほど電力を必要としないため、もっと小規模なシステムでも十分まかなえます。しかし、せっかくシステムを構築するならば、もう少し実用面で役立つものをと欲が出ました。冒頭で述べた事情から、少しでも生活用電力の足しになればと思い、電気ポットと炊飯器が使えることを目標としたのです。一度にでは無く少し間をおいて再度充電を行ってでも、発電できる昼間のうちに両方が実現できれば良しとしました。

こうして組んだシステムが下図になります。基本的な部品だけで構成しているため極めてシンプルです。組み立てるだけなら特に専門知識等は必要ありません。

DC-ACインバーターは本来はチャージコントローラーの出力に繋げば良いのですが、バッテリー電圧の低下や出力負荷の上昇で安全回路が働いて出力を停止することがあるため、より有効に電力を取り出せるようにバッテリーに直結しています。そのためショートさせたりしないように取り扱いに十分注意する必要があります。なお、安価なインバーターでは家庭用のコンセントにおける正弦波とは異なり、矩形波(パルス)または擬似正弦波(ステップ状の正弦波)を出力するため、使える家電製品には制限があります。安心して使うためには、多少高価でも正規の正弦波を出力する製品をお勧めします。

目標達成を考えた時、手持ちの電気ポットが430W、炊飯器が310Wであることから、インバーター出力が500Wあればいずれも動作可能だろうと言うのが出発点です。電気ポットで湯が沸くまでは約15分、炊飯器でご飯が炊けるまでに約60分かかります。なお、炊飯器では常に最大電力を必要とするわけでは無いため、8割程度の時間で電力を消費すると仮定して計算してみました。

まずは消費電力量です。電気ポットは430×0.25=107.5Wh、炊飯器は310×0.8=248Whとなり、トータルでは355.5Whになります。マイコンは常時1W程度の消費(電力量は1Wh)なので大勢に影響はありませんが、これも加えると356.5Whです。次に供給電力量ですが、バッテリーは30Ahなので12Vの電圧として12×30=360Wh供給できます。実際には使用中は12~13V付近の間で充放電しているためもっと供給能力は上がるはずです(定格12.8Vだと384Wh供給)。バッテリーの充電電力を全て使えるわけではありませんし、かなりざっくりとした計算ですが、概算ではほぼ使用電力と供給電力は拮抗しています。計算上は連続して両方の機器を使えることとなり、昼間であれば太陽光発電による供給(実測で最大5A程流れていて、12×5×1=60Wh)も加わるため、必要な電力を十分にまかなえそうです。追って電力計を入手したら、より詳細なデータを取って検討してみたいと思います。

太陽光発電パネルは影が入ったりすると発電能力が大きく低下すると言われているため、日中の発電時はなるべく太陽光が遮られないようにしなければなりません。パーソナル太陽光発電システムは設置を簡単にするため地上(庭)に斜めに立てかける形としました。理想的には日中は常時日光が当たる場所が望ましいわけですが、一般的にはなかなかそれは難しいことです。私の場合も最初に設置した駐車スペースのフェンス部分では、全く太陽光が遮られない時間は3時間程度しかありませんでした。そこで、日中最も長く太陽光を確保できる場所を探し、最終的には家の南面の軒下付近に移設しています。太陽光発電パネルの角度は約45度で、地上からやや浮かした形で設置しました。低い位置での周囲の影を避けて、パネルへの太陽光を長くキープできたからです。設置状況については別途報告します。

<追記(2023.4.8)
簡易電力計を入手したので、今回想定した電気ポットと炊飯器の実際の消費電力と積算電力量を測定しました。

電気ポットは消費電力が約430W、積算電力量が約100Whです。使用時間や電力計の精度等やや大雑把なものですが、値は計算値に近いものとなっています。同様に炊飯器では消費電力が最大で約310W、積算電力量が140Whになりました。積算電力量は見込みの半分程度で予想よりも大分省エネのようです。積算電力量の推移をグラフ化すると上図のようになります。始めチョロチョロ中パッパ・・・と言われるように、上手に炊けるようにマイコンが温度制御を行っていることがわかります。両者の積算電力量の合計が240Whであれば、バッテリーの供給能力360Whからするとかなり余裕があります。それならと追加実験として、バッテリー満充電で日中に電気ポット→炊飯器→約2時間待機(バッテリー充電)→電気ポットと使用してみたところ、問題無く稼動できました。当日はやや曇りがちの天気にもかかわらず、今回のシステムなら目標以上の性能を発揮したことが分かります。

余談ですが、炊飯器は最初の15分程はほとんど電力を消費しませんでした。どうやら低い温度で浸水を行っているようです。この間は最大電力と37W程度の中間電力、ヒーターオフをかなり頻繁に切り替えています。この辺りに何か炊飯のノウハウのようなものがあるのかもしれません。その後一気に加熱して高温に持っていき、20分位すると沸騰して湯気が立ち、更に10分程炊いてヒーターがオフ状態になります。その後は10分程度蒸らして炊き上がりです。また、保温状態に切り替わった後、1時間位はほとんど電力を消費しない(約1W)ことも分かりました。温度が下がって保温を維持するのに、この炊飯器では37W程度の消費電力で済んでいます。今回使用した家電は消費電力が低いものでしたが、昨今の電化製品は省エネの一方で大電力化していて、500Wのインバーター出力では使える製品がかなり限られます。次は1000Wのインバーターにトライしてみたいと思っています。

<追記(2023.4.24)
ソーラーパネルが影になると発電能力が低下するのは確かなようで、最大5A程度あった電流が約0.5Aと1/10にも減ってしまいました。一部でも影になるとこうした現象が起きるので、影が入らないようにパネルを設置することは重要なポイントです。一方で、曇りの日でもある程度発電はするので、うまく発電量と電力消費をバランスさせて運用することが大切です。