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14.Bios ROMの復旧 (2019.2.25-2019.3.8) 自作PCを手がけると、手持ち部品の流用や新しい部品の導入等で色々と中身をいじる機会が増えます。ところが、例えばCPUを交換しようとすると、マザーボード上のBios ROMが古くて対応できない場合が出てきます。BiosとはPCの最も基本的な動作を司る部分で、Windows等のOSはBiosの提供する機能を使って動作しているとも言えます。そのBiosのプログラムを収録したのがBios ROMです。マザーボードの供給メーカーは新しいCPUへの対応に熱心で、ドライバを入手しようとホームページを当たると、色々なバージョンのBiosが公開されていたりします。Biosのアップデートには個々のマザーボード特有の不具合が改善されたり、新しい機能が追加されたりと、様々なメリットがあります。その反面、アップデートに失敗するとマザーボード自体が使用不能になるような大きなリスクも伴います。メーカー自身もアップデートは推奨しておらず、不具合が無ければそのまま使うように勧告しているくらいです。 最近ではWindows上からやUSBメモリを使って起動時に簡単にアップデートを行えるようになり、ずいぶんアップデート作業の敷居も低くなりました。それでもリスク自体は無くなったわけでは無いので、やはり慎重に行わねばなりません。最悪マザーボードを廃棄する覚悟が無いと、アップデートは行わない方が無難と言えます。そうは言っても我々のようなマニアにとって、PCの高速化のためにCPUをアップグレードするのは魅力的で、避けては通れない道であるのも確かです。そんな中、たまたまBios ROMをアップデートする機会があったので、本コーナーでも取り上げることにしました。 今回使用したマザーボードはJetway製のHA06というモデルです。AMDの780Gチップセットを搭載したATXボードで、同じAMDのソケットAM2/AM2+/AM3を採用するCPUに対応します。当時のAMDのCPUは互換性が高く、次々に新しい高性能なCPUが登場して、その都度PCの性能アップを図ることができました。ソケット自体は微妙に変更が加えられていったのですが、新しいCPUに交換できるように配慮していたために、マザーボードが長期に渡って使えるというメリットがあったのです。しかし、新しいCPUは性能アップのために仕様自体も変更されたりするので、それに合わせてBiosも対応する必要がありました。Bios ROMは書き換えができるメモリーのため、中身のデータを対応するプログラムに書き換えれば良いのです。 Jetwayはマザーボードメーカーとしてはややマイナーな存在です。ボードにも色々クセがあるような話も耳にしますが、私のイメージ的な印象は悪くありません。こういうマイナーなメーカーの方が面白いものを作る可能性が高く、つい目が行ってしまうのです。ただ、品質の面ではメジャーなメーカーに遅れをとることも多く、サポートも貧弱で安心して使うには不安が残ります。何かハプニングが起きたとしても、それを楽しめる感覚の人向けなのかもしれません。HA06はボード上にパワースイッチやリセットスイッチ、起動時のPOSTコードを表示する機能等があります。実験等バラックでテストするのに便利で、なかなか細かな配慮が効いています。電源が供給されていると、ボードの馬のマークが青く光り、HDDアクセス時には赤の光も加わるのも面白い演出です。中央に鎮座するヒートシンクの形状もユニークで、全体に遊び心に富んでいると思えます。しかも、使用するコンデンサはオール固体コンデンサで、なかなか気合が入った製品です。 前置きはこれ位にして、HA06のBiosのアップデートについてですが、入手したボードの場合はA15でした。そこで同社のホームページを見ると、最終版はA17になっています。A15でも特に不具合を感じることは無かったので、あえてリスクを冒してまでアップデートする必要もありませんでしたが、やはり目の前にあると試してみたくなるのが人情です。私の場合はアップデートするか否かは半々位で、単に気まぐれと言ってしまえばそれまでです。ところが、今回はそれが仇となりました。何とアップデートに失敗して起動しなくなってしまったのです。正確にはアップデートは成功したはずでしたが、その後に起動するとなぜか「F2」を表示して進まないという症状です。これにはさすがに焦りました。 そこで原因と対策を探るためにネットを検索してわかったことは、A16またはA17へのアップデートは失敗例も多く、極めて高いリスクがあったことです。実はアップデートするには重大な注意点がありました。
1.Biosファイルと同梱されている書き換えプログラムではなく、より新しいバージョンを使用しなければならない。 1.に関してはアップデート前に目にしていたので守ったのですが、2.は見落としていました。恐らくそのせいでプログラムの一部が本来とは違う形になったのだと思います。Biosプログラムには起動時のプロセスに関する部分も含まれているため、実行に障害が出たのではないかと推測します。こうなると起動自体しないために再書き込みをすることもできません。普通であればこれで一巻の終わりになるわけです。(合掌!) 結構古いボードですしATX規格のものは自分にはあまり使い道が無いので、一時はそのまま処分しようかとも思いました。しかし、死んだボードをマジマジと見ていたら、「モッタイナイ」の文字が脳裏をよぎりました。Biosさえ書き換えできれば、高い確率で復活の可能性があるわけで、どうすれば良いかは既に頭にインプットされています。実は以前にBiosの書き換えに失敗したボードを何回か修理したことがあり、今回も同様の作業をすれば良いのです。書き換えのために必要なのは、ROMライターと書き換えを実行するPC、それに書き換え用ソフトとBiosのファイルです。BiosはJetwayのホームページに最終版がアップしてあったので、それをダウンロードして使います。既に環境は整っているので、後は実行に移すだけです。
書き換えにはSPIPGMと言うフリーウェアのソフトを使います。http://rayer.g6.cz/programm/programe.htmからダウンロードできます。パスの設定等が面倒なので、Cドライブ直下にROMというフォルダを作り、そこにプログラム本体(spipgmw.exe)を置きました。また、書き換えに使うBiosのファイルも同じフォルダにコピーします。DOS窓内で書き換えを行うため、まずはコマンドプロンプト(Windowsスタートメニューのアクセサリ内)を起動します。SPIPGMをそのまま実行すると、動作モードを指定するスイッチの説明が表示されます。どんな命令があるか確認しておくと良いでしょう。書き換えは下記の手順で行います。まずプロテクトを解除し、次に消去、最後に書き込みです。
spipgmw /u 書き換えは短時間で終わります。動作がうまくいかないようなら、PCのBios設定でパラレルポートの動作モードの指定を変更してみます。
その後のHA06ですが、実は様々な問題が露見して予想外に苦労する結果になりました。結論から先に述べるとBiosバージョンA17は大変な欠陥品で、起動が不安定で使い物にならない代物でした。不思議な事に最初のうちは割合安定して動作していたのです。ところが何度も起動を繰り返しているうちに動作が目に見えて遅くなり、Bios起動の色々な段階で停止(フリーズ?)するようになって満足にPOSTできない状況に陥り、最後にはFFやF2でほぼ動作不能になってしまいました。さすがにこれで一巻の終わり、他にもハードウェアの不具合があったのだろうと判断し、ほぼ廃棄の決意を固めるに至ったのです。 そう考えた一端を簡単に説明しましょう。当初の予定ではWindows Xpでの稼動を目指したところ、インストールの最後の段階でドライバを組み込み中、グラフィックの初期化に失敗したとかでブルーバック画面になってしまいました。普通なら専用のグラフィックドライバが無くても標準ドライバが読み込まれ、このような状況にはならないはずです。考え付く色々な方法を試しましたが、結局Xpではインストールは不可能と判断して断念しました。因みにSATAドライバも標準では当たらないので、インストール時に別途読み込みを行っています。 次にWindows7のインストールを試みたところ、意外にもインストールに成功して動作しました。詳しくは追求しませんでしたが、7に収録されているグラフィックドライバに互換性があったようです。ハードウェアの問題では無かったのでしょうか。とりあえず動作しそうなので、まだ未体験だったVistaの64bit版(これまでは32bit版のみ利用)を試してみることにしました。しかし、インストールには成功したものの、システム評価(エクスペリエンス・インデックス)の実行途中で画面がゆっくり消えて電源オフに。以後は起動することもありましたが、正常終了しなかったり起動にも失敗したりと、色々手を尽くして調べましたが状況は悪くなる一方で、最後にはまったく起動しない状況に陥りました。そもそもXpでのブルーバックで何らかのハードウェア故障を疑っていたので、いよいよこれはダメだと考えたわけです。
原因不明のまま、ほぼ廃棄処分を考えていたのですが、最後にもう一度だけBiosバージョンを下げて試してみることにしました。そう考えたのも、やはりネットでの情報です。A16またはA17でマザーボードが壊れたという書き込みが多かったためです。一部ではアップデートしてはいけないと警告までありました。A17にアップデートする際に元のA15をバックアップしていなかったため、メーカーホームページにA17と共にアップされていたA12をダウンロードし、これを上述の方法で書き込むことにしました。ただし、またフラットパッケージを弄るのは大変なので、代わりにDIPタイプのROMが乗せられるようにICソケットを取り付けました。ROMは手元にあった他の廃棄マザーのものを流用です。これなら何度でも簡単に書き込みを試せるので、実験するのに都合が良いと考えたからです。
A12バージョンのROMが用意できたところで再度テストです。緊張しましたが無事に起動成功しました。電源ボタンによるオフもOKです。次にメモリーテストを実行してこれもOKでした。最後にチェック中だったVistaでの起動にも成功し、不調に陥る前の状態に戻りました。やはりA17には何かしらの問題があるのは確実です。書き込みリスクも高いですが、それ以上にBiosのプログラム自体が出来損ないと言うわけです。メジャーなメーカーなら大問題になるところですが、マイナーなだけに未だに放置したままとは。やはりリスク覚悟は必須のようです。 ここまでは問題無く動作していたのですが、システム評価を実行したところ、またしても画面がスーっと消えて電源オフに。嫌な予感が脳裏をよぎりましたが、次も問題無く起動してホッとしました。こういった場合、大抵は電源(ユニット)に問題があることが多いのですが、これまでもっと高い負荷のマザーボードを何度もテストしていますし、電源自体もそれほど使い込んでいるわけではありません。可能性は0ではありませんが、電源不良の確率はかなり低いものと思います。もしも電源に関係するとすれば、マザーボード内の電源回路に劣化等による不良原因があるのかもしれません。そのため少し負荷が高まると、イレギュラーにセーフティーが働いて電源オフになることも考えられます。もちろんBiosの不具合も捨て切れません。見かけ上は正常に動作しているようですが、いつシャットダウンするかわからないので一抹の不安を拭えません。とにかくしばらく稼動させて、様子見するより他に手は無さそうです。 その後、システムのバックアップを取ったりHDDの速度を計ったりと、色々動作をさせてみましたが特に問題は出ませんでした。さすがにベンチマーク等はちょっと保留にしていますが、高い負荷をかけない限りはとりあえず大丈夫そうです。CPUがブラックエディションと呼ばれるクロック倍率フリータイプなので、現在は倍率を10%上げて3.3GHzで動作しています。特に発熱が増すことも無く、安定して動作しているようです。不具合が出ないようならこのままで稼動を続けるつもりです。自分のポリシーとして無茶なクロックアップは目指しません。元々製品にはマージンが見込まれているので、自分の感覚として10%程度なら大丈夫だろうと言う目算があります。逆にメーカーからしてみれば、最低でもその程度のマージンを織り込まなければ、個々のバラ付きを考慮した場合に危なくて製品の出荷など出来ないわけです。 さて、結構ユニークなマザーボードだったので何とか有効活用したくてここまで来ましたが、現状ではまだ安心して重要な作業用には使えません。とりあえずは周辺機器やソフト等のテスト用にでも稼動させるつもりです。少なくともVistaの64bit環境はこれだけなので、貴重な1台であることに変わりはありません。なにしろVistaの全盛期にはXpの時代程では無いにしろ、4GBを超えるようなメモリー環境はコストもかかって実現困難でした。64bitで動作するソフトもまだ少なく、導入メリットがあまり無かったのも確かです。そのため本格的な64bit時代は、Windows7になってからだと言えるかもしれません。恐らくVistaの64bitを搭載する製品は、市場では圧倒的に少なかったのだと思います。 実は今回インストールしたVistaは英語版(Ultimate)で、後から日本語化したものです。日本語版は中古と言えども高価で、サポートも切れた今となっては高いコストを払ってまで導入するメリットはありません。たまたま手元で眠っていたから試してみただけのことで、HA06でのVista 導入はあくまでも実験的な意味合いのものです。とにかく今後も安定動作を目指してチェックを続けたいと思います。いずれにせよ今回のハードは発売から10年は経過していますし、恐らく構成部品もかなり劣化していることでしょう。とっくに寿命を迎えていてもおかしくは無いのです。マザーボードはかなり信頼性が高い製品で、経験的にも長寿命だと思っているのですが、特にデジタル機器は10年も経過すると一気に故障が増えてくる印象があります。個人的には大体これ位が寿命の目安ではないかと考えています。
<追記(2019.3.2)>
<追記(2019.3.8)>
ここまで紆余曲折があったものの、どうにかXpでの整備が完了して今回の目的が達成できました。古いシステムの割りに高性能が実証され、今でも十分実用的に使えるPCになると思います。手元に空きケースが無くて完成品になるのはまだ先ですが、最終的に満足できる結果です。
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