32.自動ミニトマト栽培機(給水装置) (2021.6.1-2023.11.25)

鉢植えのミニトマト栽培に使用する給水装置は、当初構想編で紹介したコック式を採用する予定でしたが、小型で安価なソレノイド式電磁弁が見つかったので、それを利用して組み立てて行こうと考えました。ところがamazonで色々検討していたところ、他にも小型の水中ポンプを利用する選択肢が浮上したのです。実際、鉢植えに水を供給するとなれば、一度に大量に流し込むことはありません。電磁弁は水道管に直結するようにできているので、使えないことは無いにしても適切な用途とは言えません。実は既に下のようなサンプルを入手してしまったのですが、これは庭全体の水散布等に使用することにして今回の採用は見送ります。

そして実際に採用することにしたのが下の小型水中ポンプです。かなり低価格(3個+オマケ1個で1380円)で、1個当たり350円もしませんでした。もっともモーター以外にほとんど部品が無いので、モーター代プラスアルファ程度なのでしょう。耐久性やポンプ圧等が心配ですが、テスト運用と言うことで不具合があれば別のものに置き換えることにします。

この水中ポンプ自体の駆動は簡単です。仕様によると電圧は3~5V、電流100~200mA程度で、RasPiで制御しやすいものです。GPIOの最大電流は50mAなので、直接駆動せずに途中にトランジスタやFETによるドライバを入れなければなりません。ただし、今回のポンプも暫定的なもので、今後変更する可能性は十分あります。そのため、今はフレキシブルに対応するためリレーを使って駆動することにしました。リレーはRasPiで制御できるモジュールを使います。既に非接触手洗い装置でリレーモジュールを使っているので、今回も同様のものを使うことにしました。類似品はamazonで入手でき、5個セットで900円程でした。何と1個200円もしません。耐久性等が気になるところですが、こうした部品が格安で手に入るのはありがたいことです。

これまでの経験では、安価ながらもとりあえず実用レベルではあるのですが、製品の当たり外れは結構大きい感じで、大抵は説明書すらありません。中華品質と揶揄されますが、リレー外装の傷が多かったりリード線固定部が雑だったりと、確かにまだ品質には問題があると思います。それでもこの価格は大きな魅力で、品質も急速に向上していることから、もはやこの手の製品で日本は勝負にならないと言うのが実感です。問題は製品のスペックがいい加減なことが多い点で、例えばこの水中モーターが電圧3~5Vと言うのは常識的に見てオーバースペックです。恐らく定格1.5V、最大3V程度なのでしょう。5Vで駆動できたとしても、短期間でブラシやコイルが焼損して廃棄物になるのがオチです。仕様が書いてあったら大体半分程度の実力と考えておけば、無用なトラブルも避けられるのではないでしょうか。

amazonで扱うこうした製品については不満もありますが、なにぶん価格が激安なので個人的には恩恵の方が大きいです。それはさておき植物の栽培において、どういうタイミングでどれだけの水を供給するかは最大の課題です。そのために環境測定装置でデータを取る必要があり、運用までには大きなハードルが残っています。暫定的には土中の水分量を調べて、ある値を切ったら水を補給するようにすれば良いと考えています。一度に補給する量を規定しておき、時間を置いて水分量の増加を見ながら適宜補給量を調整するつもりです。

ポンプを動作させるためにリレーをON/OFFにする信号は、GPIO21(40ピン)を使うことにします。とりあえずポンプを作動させて水の補給状況を確認するために、一定時間ポンプをONにする簡単なプログラムを用意しました。ポンプ周りの駆動回路は下図の通りです。電圧を変えると給水能力も変化するでしょうから、可変電圧を2.5Vに固定したままで仮運用します。

プログラムは起動後5秒待った後に5秒間ポンプを駆動してから停止するものです。

口元を取り除いたペットボトルを水タンクに見立て、水中ポンプを底に沈めて上記プログラムを走らせたところ、5秒間の通電で約140ccの水が給水できました。外観からポンプは非力だろうと思っていましたが、予想以上に給水能力が高く驚いています。鉢植え程度なら1~2回の給水で1日分まかなえそうです。1週間程水中に沈めておいても特に異常は見られないので(→1ヶ月以上でも順調で検証を継続中)、今後給水テストを繰り返して耐久性等を見極めようと思います。現在は室内での実験ですが、せっかくなので何か小さな観葉植物でも植えて、実際の運用に近い状態で稼動テストに臨みたいところです。(中間報告:4ヶ月運用中ですが健在。意外に耐久性があることに感心します。その後半年程水中で放置していたら、いつの間にかモーターが動かなくなっていました。内部が黒く見えたので、たぶん水がしみこんで錆びたものと推測します。恐らく構造上1年の耐久性は無いものと推測します。)


ペットボトル底の水中ポンプ

手動で任意に給水できるように、ウインドウ上のボタンを押すと5秒間注水するプログラムを作りました。いずれ自動ミニトマト栽培機のコンソールにも取り入れたいと思います。
手動給水プログラム
→ 最終的にウインドウ上で操作パネルを表示して、自動・手動の給水を可能にしました。また、同じシステムで液状の追肥も可能になるため、もう1系統の給水(追肥)を栽培機に追加することにしました。本機ではリレーでモーターをON/OFFするようにしているため、液肥では無く顆粒状の肥料の注ぎ口を開閉するような装置に変えれば、固形肥料を追肥に使えるようにもなります。そのための装置もオプションとして作りたいと考えています。

散水器は当初ジョウロの先を改造する等して流用するつもりでしたが、最終的に新たなものを作りました(下図)。ホームセンターのエンビパイプを扱うコーナーで使えそうなものがあり、うまく組み合わせることで実現しました。要となる散水部は直径18ミリ程のパイプです。ここに1センチ間隔で1.5ミリの小さな穴を開けました。図の左に見えるカップ部分は、パイプを通して流れてくる水の仮貯水部です。そのままパイプに水を流すと溢れる可能性があるため、これが一時的に貯水する役割を果たします。元々この部品はカップでは無く、太いパイプの終端を止めるためのものです。散水器全体を植木鉢の上に安定して設置するため、パイプの左右にパイプ止めを接着しました。写真ではわかりにくいですが、カップとパイプはL字型の継ぎ手を接着しています。また、カップの底には水が通る穴を開けています。パイプの反対側の端は終端止めを接着しました。パイプ関連の材料費だけなら500円を下回り、安価に製作できるのが最大のメリットだと思います。難点は厚みがありやや重いことですが、加工も楽だし丈夫でお勧めできます。

パイプに一列に穴を開ける時は、次のようにテープでパイプが動かないように板等に固定し、パイプにマスキングテープを貼って一定間隔で印を付け、それを目安にドリルで穴を開けるとうまくいきます。テープでドリルの先がずれるのも防げるので一石二鳥です。

完成した散水装置は、実際に散水すると写真のようになります。思ったより流量が多いので、穴の直径はもう少し小さな方が良い(1.5ミリ→1ミリ)かもしれません。散水器の手前左右に見えるのは、地中温度・水分量センサーです。ミニトマトはシーズンが終わってしまうので、これから秋・冬にかけては、室内で観葉植物を育てながらシステム開発を進めます。栽培機では追肥の機能も持たせるため、液体用ならこの散水器を共に利用すれば良いと思っています。液肥の場合はポンプ式の水中モーターが腐食する可能性があるので、電磁弁方式を採用するつもりです。

そのため追肥用の装置には、一度は採用を見送った冒頭で紹介した電磁弁を再検討することにしました。重力落下式で使うなら電磁弁の口径の大小は問題にはなりません。細いパイプに流すことで流量を制限できるからです。そこで追肥タンクは次の2つの方法を考えてみました。
1.「27.非接触手洗い装置」で採用した水栓コックを、手製の接続パーツで電磁弁の上に取り付けて中継する。
   コックの角度で水量を調節できて便利なことと、ペットボトルをそのままタンクに利用できるメリットがある。
2.廃ボトル等の底に穴を開け、パイプを付けた手製の接続パーツを作って電磁弁の上に固定する。
   廃ボトルのキャップを開ければ上から肥料を簡単に補充できるメリットがある。

1.は今回部品が入手できなかったため保留、2.を採用することにしました。たまたま手元に入浴剤の廃ボトルがあったため、底部を加工して利用することにします。加工後の外観は次のようなものです。底にパイプ用の穴を開けて短いパイプを通し、電磁弁と接続するためにペットボトルのキャップにもパイプ用の穴を開けて、廃ボトルの下側に貼り付けました。エポキシ樹脂等で液肥が漏れないような配慮が必要です。取り付けるパイプの太さによって流量を調節できるので、あらかじめ目安を確認しておくと良いと思います。採用したのは内径6ミリのビニールパイプで、水中モーター購入時に付属したものを少し拝借します。電磁弁駆動には給水モーターと同様にリレーユニットを使います。リレーをON/OFFにする信号は、GPIO22(15ピン)を使うことにします。

給水装置の水は使用する度に減っていきます。そのまま放置すると給水モーターが水に覆われなくなり、通電すると空回り状態になってしまいます。最悪モーターが焼損する事態にもなりかねないので、水位が想定よりも低下した場合に警告(給水も禁止)するためのセンサーを用意します。水位低下をどのように検知するかと言うと、まずはおもりの入った浮きを水面に浮かべます。一方、検知スイッチは下図のように小さな力で押せる補助板が付いたものを使います(図では先端に紐を付けやすいよう、ケーブルクランプの小さいものを貼り付けてある)。この板と浮きを紐で結んで浮きを水に浮かべます。この時、スイッチは上向きになるように設置しておきます。水が十分にあれば紐はたるんだ状態になり、スイッチを押す板は離れたまま(スイッチはオフ)です。その後、使用によって水位が下がるとおもりの位置はどんどん低下し、やがておもりが紐から垂れ下がるような状態に至ります。そうするとスイッチを押す板が引っ張られて下がり、スイッチが押されてオンになる仕組みです。

検知スイッチは水タンクのフタの下に取り付けます。ちょうどうまい具合に取っ手部分の裏側がへこんだ形になっていたので、そこにプラ板をコの字型に加工したものを使って貼り付けました。浮きはペットボトルのキャップ2個を張り合わせて作っています。中には不要となったビスを適当に詰めました。廃物利用ですが十分機能は果たせそうです。浮きの重みでスイッチがオンになり、なおかつ水に浮くようバランスに注意します。原始的な構造ですが動作が確実で、安価で簡単に作れると思います。なお、今回は防錆を考慮していませんが、本来は湿気に伴うサビを防ぐ対策が必要です。特に夏場等はこの構造だと水蒸気によるサビが心配になります。次はフタの外側にスイッチを付けて、プラ板で周囲を覆うような構造を考えたいと思います。

追肥タンクも同様の水位警告センサー(スイッチ)を使えますが、ペットボトル等を利用することを考えると大掛かりな加工はしたくありません。そこで、水検知センサーを自作することにしました。給水装置では水位が下がっておもりがスイッチからぶら下がることでスイッチをオンにしていましたが、こちらの自作水検知センサーは2本の電極間に水が触れると通電を検知するものです。ただし、普通の金属電極では錆びてしまうので、炭素棒(鉛筆の芯で代用)を使うのがポイントです。使用した鉛筆は標準的なHBで、カッターナイフで周囲の木を取り除きます。自作センサーはあらかじめ芯部分にリード線を巻き付ハンダで固めた後、防錆と補強を兼ねて熱収縮チュープで覆っています。結構丈夫ですがもろいので、衝撃を与えないように注意が必要です。廃ボトルの底に穴を開けて、接触しないように2本のセンサー棒を取り付けます。漏水を防ぐために芯の周囲はしっかりとエポキシで固めます。


加工した鉛筆の芯

   
ボトル低部の外側と内側(センサー部)

通常は液肥によって炭素棒の間の抵抗が低下しています(導通状態)。と言っても数百キロオーダーの高い抵抗があり、実験で間隔を3ミリ程開けて抵抗を計ったところ約400キロオーム(水道水の場合)ありました。色々な材料が含まれる(不純物が多い)液肥なら、抵抗値はもっと下がると思います。一方、液肥の量が減って炭素棒が空気中にむき出しになると、抵抗はほぼ無限大となります(絶縁状態)。この差によってセンサーのON/OFFを判定するわけです。RasPiのGPIOを入力端子に使った場合インピーダンスは非常に高いため、こうした高抵抗でも扱うことができます。今回の装置ではプルダウン抵抗を200キロオームとしました(下図参照)。炭素棒の間の隙間を極力狭くし、検知時の抵抗値が小さくなるようにするのが重要です。実験ではセンサー動作を確認できましたが、相当微小な電流の上にしきい値電圧を十分確保できているとは言い難く、ノイズ等による影響も否定できません。実際、条件によっては検出が不安定になることもあるようです。完全な動作を望むのであれば、センサー部の改良が必要と考えています。

水位検知センサーは次のGPIOピンに割り当てることにします。回路は「16.入出力の実験」のスイッチ入力部側と同じです。
給水タンク用センサー: 37ピン(GPIO26)
追肥タンク用センサー: 13ピン(GPIO27)

文中記載と重複しますが、おさらいすると給水・追肥装置を作動させる各リレーは次の通りです。
給水ポンプ用リレー: 40ピン(GPIO21)
追肥ソレノイド用リレー: 15ピン(GPIO22)

完成した追肥タンク(電磁弁付)が下の写真です。底側から見ているので、実際には上下が逆になります。電磁弁自体が大きいので、今後小型化のためにもっと小さなものを探したいと思います。栓の周りのプラスチック部品は、水受けカップに乗せた時に安定させるためのものです。

給水装置にセットするとこのようになります。フタを開ければ上から液肥の補充ができて便利です。

課題としては、ガイドを付けてあるとは言えカップ部分に乗せているだけなので少し安定が悪い点と、もう一つはリレー部分の防水性が無いことです。外で風雨にさらされる場合は対策が必要ですが、今のところ室内での運用なのでこのままとします。

<追記(2021.10.8)
実験ではリレーユニットを追肥タンクの電磁弁に取り付けましたが、2号機の製作を機に制御装置内に組み込みました。これにより簡易的な防水状態(電磁弁にカバーがあるため)になり、リード線を取り出すカバー部を何らかで覆えば、屋外での運用も可能になると思います。

<追記(2021.10.26)
追肥タンクの液体検知センサーを、炭素棒からスズメッキ線に変えて製作しました。2本の電極は各0.5ミリのスズメッキ線を4回折り込んで(5本分の束にする)ねじったものです。2本が接触しないように熱収縮チューブを両端にかぶせて、約1ミリの隙間を空けています。このスズメッキ線にリード線をハンダ付けすれば、簡易センサーとして使用できます。リード線の銅やハンダ部分が液肥で錆びるのを防ぐため、ホットメルトでガードしておきます。これを液肥タンクの上から垂らして、湾曲させた電極部分を底に沈めます。ある程度残量を残して検知したい場合は、先端を曲げずにスズメッキ線のむき出し部分を底から離れた位置に置きます。作るのも簡単で腐食にも比較的強いと思われますので、耐久性を検証して問題無ければ、今後はこのタイプを使うつもりです。間隔が狭いため抵抗値も約35キロオーム(水道水の場合)と、炭素棒で作ったものよりも1桁低い値になっています。これなら確実に残量不足を検知できるでしょう。給水タンクや他の水検知にも応用できる、手製の格安水検知センサーの完成です。センサー部の分圧抵抗(R2)は100キロオーム程度でも大丈夫だと思います。

完成と言っておいて恐縮ですが、実はこのセンサーをしばらく水に浸しておいたところ、緑青が出ていることがわかりました。恐らくスズメッキの下の銅に水が触れて腐食が始まっているものと推測します。センサー自体はこれで良いとしても、材質や構造については更に改善する余地があります。とにかくメッキ部分以外が液体に触れないように、厳重にパッキングしなければなりません。その後、曲げ部分を接着剤で覆って水に触れないようにしたサンプルを作って再度実験したところ、半月ほど水の中に放置してもほとんど腐食は起こらないことがわかりました。緑青の原因はペンチで曲げた時の傷で、芯となる銅が露出したことが原因と思われます。きちんと処理すればスズメッキ線でも十分実用になることがわかり安堵しています。

<追記(2021.10.29-2021.11.8)
追肥タンクを新たに小型の鉢植え用として製作しました。これに合わせて電磁弁も小型のタイプ(電源は同じDC12V)に変更しています。電流値がかなり大きく発熱も大きいとのことなので、理想的には更に小型(1/2程度)の電磁弁が欲しいところです。入水・出水部分(製品は1/4インチ)にはクイック継手(外径6ミリのパイプ用)を付けました。これがなかなか優れもので、パイプを押し込んだだけで固定され、抜く時はストッパーを押し込めばパイプが外れるようになっています。amazonで10個セット600円程でした。パイプをワンタッチで交換できるので、色々な用途に対応しやすくなります。上記センサーとこの電磁弁を組み合わせて作ったのが次の新型追肥タンクです。タンクは100均で見つけたプラ容器を加工しました。電磁弁とタンクをつなぐグレーのプラ板も、やはり100均で売られているプラシートから切り出しています。給水タンクのスイッチ固定にも使いましたが、適当に弾力があって切るのも折り曲げる(カッターで折しろに少し切り込みを入れる)のも楽なので重宝しています。


小型追肥タンク(正面側から見た図)


斜め横から見た図

タンクは100均で見つけたプラ製のものですが、本当は透明でもう少し背の高いものを入手したかったところです。底にパイプ用の穴を開け、電磁弁につけたクイック継手に接続しています。タンクとパイプ接合部から水漏れしないように、接着剤とホットメルトでしっかりシールしています。電磁弁の前側には2ヶ所穴が開いていたので、そこにテントに使うペグ(100均)をビスでそのまま取り付けました。地面に刺せるようにしたわけですが、このままでも実用にはなりますが、電磁弁の後ろにも支えを付けた方が安定が良さそうです。フタはパッキング付なので液肥の乾燥を防げます。写真では見えませんが、タンク容器の上端に切り込みを入れて、前記のスズメッキ線センサーを入れられるようにしています。

これで運用するつもりでしが、やはりタンク部分が気になる上、意外に場所を取るため別のタイプも考えてみました。電磁弁にはこの製品を使うことにして、形状や設置方法を変えています。電磁弁には先のクイック継手を使ったのですが、実際に試してみると水漏れが酷い結果になりました。しっかり止まっているように見えて、肝心の圧着部分が緩いようです。パイプの外形が微妙に小さいのか、継手の勘合部が浅いのかわかりませんが、最終的に接着剤でシールすることで水漏れ対策をしました。目玉である着脱機能は失われますが、水漏れするよりはマシなので妥協します。現在、定評のある別のクイック継手を調達中です(価格は3倍程)。タンクは想定の近いものが見つかりました。透明のやや背の高いポリ容器で、側面に容量の目盛りも付いています。フタの近くに見える黒いゴムプッシュ(奥側)は、残量警告センサーのリード線を外に取り出すための穴です。このためタンク容量は最大約230ミリリットル程になります。鉢植えの小型植物なら追肥を4~5回はまかなえると思います。


水平設置型の小型追肥タンク


手前の追肥タンクから電磁弁へ

水平設置型の場合、液肥の残量が少なくなるとタンク内の圧力が下がり、思ったよりスムーズに流れませんでした。やはり垂直型で考えた方が良いようです。透明のポリ容器は2ヶセットでもう1つあるので、そちらは垂直型で作ろうと思います。

<追記(2021.11.16-2021.12.3)
予告した垂直設置型の追肥タンクも製作しました。これでケースバイケースの設置ができます。写真は横にした状態で、使用時は立てて土に棒を埋め込んで使います。ベース構造体はプラ板とプラ棒、更にT型金具とL型金具を組み合わせたものです。模型店やホームセンターで調達した部材で、一般のごくありふれたものです。加工も最小限で済むよう工夫したので、さほど手間のかかるものではありません。


右のタンクが上に来る形で立てて使用。タンク内にはセンサーも設置


別角度(電磁弁の後ろ)から見た状態

また、漏れの酷かったクイック継手は構造上の問題でした。新たにamazonでPISCO(日本製)と言うメーカーのものを購入して交換したら、全く水漏れは起こっていません。構造を比較してみると、チューブのストッパーの突部が2倍以上出ており、ホールド性能がまるで違うのがわかります。写真の左が粗悪品、右がPISCO製です。見れば一目瞭然で、いくら安くても満足に機能が果たせなければ意味がありません。価格が3倍位しても、さすがMade in Japanです。以前の購入品は中国製の粗悪品で、よくよく注意しなければなりません。こういう粗悪品が平然と売られているのもamazonで、リスクは少なからずあると言う見本でした。


写真左が水漏れする粗悪品で右が良品(外観はむしろ粗悪品の方がきれい?)

粗悪品の救済策としてチューブをより硬質なものに交換してみました。内径も少し細いため(結果、チューブ厚が太い)、ホールドが浅くても密封性は高まりそうです。水漏れを完全に防げるとは思いませんが、外での使用であれば多少漏れても影響は少ないですし、最悪は接着剤でチューブごとシールしてしまう手もあります。

<追記(2021.11.30)
追肥タンク用の液体検知センサーの改良型です。0.5ミリ径のスズメッキ線を2回折り曲げて3本の状態にし、ねじってバラけないように加工します。片側にリード線をハンダ付けした後、スズメッキ線両端部に接着剤を塗って防水対策をします。次に熱収縮チューブで両端を覆い、隙間部分に接着剤を塗って更に防水処理をします。スズメッキ線に傷があると腐食の原因になるため、作業には十分注意が必要です。同じものを2本作って重ねた上で、熱収縮チューブ部分を更に太い熱収縮チューブで覆います。この時、2本の線が接触しないよう注意して下さい。1ミリ程度の間隔が理想です。最後に熱収縮チューブの端の部分から水が入らないように、たっぷり接着剤を塗って完成です。メッキ部分は錆びにも強いので、何重もの防水処理と相まって耐久性はかなり向上するはずです。これで1年は持つと期待したいのですが。運用実績については追って報告したいと思います。


製作中の改良型センサー


改良型センサー完成品

残量がどの程度で検知するかは、メッキ線の露出部の下端(写真の左部分で電極として機能する部分)と容器の底までの距離によります。メッキ線部分を曲げて角度を付けることで、底からの距離を0ミリ~設定できるため、検知したい残量レベルを自由に調整できます。現行プログラムだと残量警告が出た時点で注水を休止しますが、残量次第では中止を先延ばししても良いと思います。追肥タンクにはリード線取り出し口を設けてあり、センサーの交換も簡単にできます。センサーが浮き上がってこないように、ゴムプッシュ部分を通るリード線と並行にスズメッキ線を付けて折り曲げてやれば、配線の整形も容易です。

このセンサーの更なる応用として、複数のセンサーを使って残量レベルを何段階かに分けて検知する方法もあります。例えば3本のセンサーを使って、タンクの底から3センチ浮かせたセンサーで補給の注意を促し、底から1センチ浮かせたセンサーで警告を発し、底に密着したセンサー(残量がほぼ0を検知)で注水を中止する等、状況に応じて色々な対処ができると思います。材料費など0に等しいようなものなので、気軽に使えるのではないでしょうか。

<追記(2023.11.25)
改良型センサーの耐久性ですが、液肥の中に放置したところさほど長くは持ちませんでした。メッキ自体が不完全(中の銅線が完全にメッキで保護されていない)なのか、通電によって表面に液肥が結晶化して付着するのか不明ですが、結局は腐食してしまうことが分かりました。長期間の使用には別の方法を考えた方が良さそうです。そこで、次はタンクの外に設置できる非接触型の市販センサーを使うことにしました。既に実験では良好な結果が得られているので、新型のタンクと共に追って紹介したいと思います。