11.地デジチューナー KTV-FSPCIE (2021.5.3)

今やPC用の高性能TVチューナーも破格。

入手先:オークション
価格:1000円
送料:0円
付属品:一式

TVがアナログからデジタルに移行して早十数年。かつては憧れだったPC用のTVチューナーも、若者のTV離れや対応するPCの減少によって需要は確実に減っているようです。特に現在主流であるWindows 10に対応しない古いチューナーは、ジャンク品として格安で処分されるケースが目立ちます。大型の液晶TVも安くなったし、今やわざわざPCでTVを見たり録画する機会などほとんど無いかもしれません。それでもPCへの付加価値としてのTVチューナーは、個人的には大きな存在感がありました。それと言うのも、かつてはHDD/DVDレコーダーも高価で、手軽に大容量HDDに録画データを残せる点でPCは有利だと思えたからです。しかし、PCで安定して動かすにはなかなかハードルが高く、様々なトラブルの原因にもなっていました。安定して動作させるために、あれこれ試行錯誤するのも、我々のようなPCユーザーの楽しみの一つでもあったのです。少なくともアナログの時代には、PC用のTVチューナーは自由に編集もできて、録画マニアにとっても大変有用だったはずです。

PC用のTVチューナーが衰退したのは、間違い無く厳しい録画制限にあります。デジタル放送となった現在では、著作権保護が厳しくて満足に録画番組を編集できないどころか、録画した機器でしか残せない制限があります。ダビングは一応10回まで可能(初期は1回に制限)であるものの、孫コピーは不可能です。つまり、たとえ残したとしても、十分な活用の道は見込めないわけです。結局のところ多くの人はPCでの録画をあきらめ、TVで視聴して終わるか市販のレコーダーで間に合わせる流れとなりました。更に残すほどのTV番組が少なくなったのも、大きな要因ではないかと思います。実際TVを見ていてもつまらない番組が多く、私自身もニュースや情報番組以外はほとんど見なくなりました。多くの録画マニアは映画やアニメをコレクションとして残す傾向が高く、できるだけ良い状態での保存を望みます。ところが、昨今では番組内に余計なテロップ(宣伝やニュース速報等)が多過ぎて、益々録画意欲を減退させています。

そのようなわけで、PC用のTVチューナーが叩き売りになってしまっているのが現状なのです。そんな中でも一部のチューナーはマニアの間で高値で取引されています。デジタル放送はTSと言うデータ形式で、TV放送では著作権保護がかかっています。これによって前述したような制限がかかっているわけですが、制限を外して録画することができるのがこの種のチューナーです。機器を改造することなく自由に扱えるTSデータを出力できることから、いわゆるTS抜きができるチューナーと呼ばれます。法律的にはグレーな存在のため、本来必要なB-CASカードは添付されていません。メーカー側はあくまでも電波を受信するだけのチューナーとの位置付けで、その後どう使うかはユーザー次第と言うスタンスのわけです。元々B-CAS自体が違法性を指摘されているような代物なので、ケンカ両成敗的な感じがします。そのせいか、販売を禁止されることも無く現在に至っているようです。

この種のチューナーは複数あって、大抵は普通のチューナーとして使うことを前提に販売されています。ところが、中には少し改造すればTS抜きができる商品も存在します。今回紹介するPC用の地デジチューナー(KTV-FSPCIE)もその1つで、主に中国製品を扱う輸入業者KEIAN(恵安)の製品です。元々正規品なので、もちろんB-CASカードも同梱されています。添付されているソフトが対応するのがWindows Xp~7までなので、今となっては注目度は低いと思います。そのため、役目を終えた中古がオークション等を通じて叩き売り状態にあるようです。私が入手したのもジャンク品として扱われていたもので、送料込で1000円ですからまさに破格です。普通に使っても良いのですが、最悪壊れても構わないと思い、今回は改造実験に取り組むことにしました。もしも未改造のままTS抜きができたとしたら、このチューナーも格安で出回ることは無かったでしょう。

KTV-FSPCIEは少々変則的なボードで、見かけはPCIEスロット用に作られていますが端子部分はダミーです。実際に接続するインターフェースは、PC内部のUSBコネクタの方です。実質的には外付けのUSB機器と同じなわけで、仮にコネクタを変換して外部のUSBポートに接続しても同じように使えます。実はKTV-FSPCIEには姉妹品としてKTV-FSUSB2と言う製品があり、そちらは純粋に外部USB接続チューナーとなっています。製品は異なりますが、回路的にはほとんど同じものが使われています。

本製品は時期によって色々なバージョンがあり、改造方法もやや異なっています。見分けるのはシリアルナンバーで、手元の商品は先頭部分がK1108でした。数ある中でも最終に近いものと思われます。改造と言ってもEEPROM(書き換え可能なフラッシュメモリーの一種)を書き換えるだけで、それを可能にするためにR16のチップ抵抗を外します(左上の赤い部分)。ハンダゴテがあればコテ先にハンダを盛って抵抗に当てれば、熱で簡単に取り除けます。書き換えの可否を決定する端子をプルダウンしている抵抗を外すことで、禁止状態を解除して書き込みを可能にするわけです。本来はどちらかに固定しなければなりませんが、恐らく内部でプルアップされていてライトイネーブル状態になるのでしょう(EEPROMの仕様がわからないので推測ですが)。

 

改造に必要なソフト類を現在入手するのは困難かもしれません。興味のある方はネットの情報を参考にして下さい。改造(=ファームウェアの書き換え)は元のソフトウェアを吸い出して、パッチを当てた上で再び書き戻す作業になります。バージョンによっては書き換えのために、R16(上の写真では下の赤い部分)のIC側と金具のビス(GND)等を細いリード線で接続してGNDに落とした上で、USB端子をつないで認識させる必要があります(K11バージョンでは加工不要)。この配線をサルベージ配線と呼ぶようですが、なるほどソフトを回収すると言う意味で的を射ています。詳しくは述べませんが、一連の操作によってチューナーがEEPROM Writerとして認識されます。書き換えすると付属のアプリやリモコンは使えなくなる上に、失敗すれば機器自体が使用不能になるため、安易に書き換えるのは推奨しません。ドライバも別のものを使うため、自信が無い場合はこの種のリスクには手を出さない方が賢明です。少なからずシステムにも影響を及ぼすため、作業前にシステムのバックアップを取っておくことも必要でしょう。

改造したチューナーは視聴・録画にTVTestと呼ばれるソフトを使います。有志によって作られたようですが、相当レベルの高い非常に良くできたソフトです。市販のTVチューナーに付属するソフトはどれも使い勝手が悪く、動作が重いのが普通です。経験的に処理能力の低いPCでは、画面がカクカクしたり音声が途切れたり、はたまたフリーズしたりソフトが落ちたりと、様々なトラブルに見舞われることになります。ところが、このチューナーと低性能の初期のAtom搭載ネットブック(ノートPC)との組み合わせでも、普通に視聴できるのは実に驚くべきことです。

また、Aeroを搭載するVista以降のPCでは、視聴アプリが画面をクラシックモード(Aeroを使わない)に強制的に変更するのが普通ですが、TVTestはそのまま使うことができます。チャンネルも放送波の切り替えも速く、ストレス無く使えるのも優れた点です。EPGにも対応しているし再生ソフトにも使えることから、まさに視聴・録画ソフトとしては万能かつ最強の存在です。作った人はよほど優れたプログラミングのエキスパートなのでしょう。TVTestはEDCBやTvRockと呼ばれるソフトと組み合わせてタイマー録画を実現できます。これらもTVTestに劣らず、使い勝手が良く優秀なソフトです。ただし、環境を構築するためにはややハードルが高く、ネットの情報を頼りに自分で環境整備しなければなりません。まとまったマニュアルのようなものは無いので、個人が発信する断片的な情報が頼りです。そうした苦労の甲斐あって、TVTestで番組が視聴できた時は満足感に浸れること間違い無しです。

参考までに、下はWindows Xp上で動作するTVTestです。一度環境を構築すれば、フォルダごと視聴ソフトをコピーして別のPCでも使うことができます。テストの名はいかにも控えめな表現で、一般のメーカー製TVチューナーソフトよりも遥かに安定動作する超優秀なソフトと言うのが個人的感想です。

 

 

 




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