41.aopen BB10 (2021.4.23)

アルミボディのコンパクトなPC。

aopen(エーオープン)はパソコンやその周辺機器を含む関連製品を企画・販売している会社で、結構ユニークな商品も多く手がけています。今回紹介するミニPCのBB10も、ケース全体がアルミで出来ているのが特長です。いかにも放熱性抜群で涼しげな外観ですが、実際はかなり内部が高温になります。詳細は後述するとして、本機は元はベアボーンで販売されたもので、CPUに省エネでデュアルコアのAtom 330を採用したオリジナルのマザーを搭載しています。ユニークなのは単なるアルミ筐体だけでなく、付属のオプションパーツでゲタをはかせた感じにして、スリム型の光学ドライブも搭載できる点です。粋な計らいですが、今となっては光学ドライブもUSB外付けで間に合うので、どうせ組むならシンプルな光学ドライブ無しの方が良さそうです。写真には写っていませんが、電源は内蔵しておらずACアダプタ(65W)駆動になっています。Atomは消費電力が少ないため、BB10のようにACアダプタ駆動ができます。当時は安価なネットブックやネットトップPCで盛んに採用されたシリーズのCPUです。必要最小限の性能ではありますが、低価格でPCが入手できたため非常に人気があったものです。

●マザーボード(上)
mini-ITXのためぎっしり部品が詰まっています。Atomは処理能力が低いため、動画再生支援機能を備えたIONプラットフォームと呼ばれるチップセットと組み合わせるケースが多いのですが、本機はインテルの945GC + ICH7チップセット採用です。恐らくコスト的な面での割り切りだと思いますが、出力もアナログのVGAのみなので、元々ビデオやグラフィック系の用途はあまり想定されていないのでしょう。

主な用途としては、文字中心の軽作業やネットでの検索にあるのだと思います。使用した感触ではキビキビとして心地良いとは言えませんが、さりとてストレスを感じるほど遅いわけでもありません。むしろごく普通に使えるというのが実感です。ベンチマーク結果を見ても現行PCとしては最低レベル(最低はシングルコアのAtom230等)ですが、家庭用PCではこの程度でも実用になると言うことです。むしろ一般的に使われているPCはオーバースペックで、無駄に電力を消費していると考えるべきだと思います。

メモリースロットは1基だけで、本機には最大の2GBを搭載しました。OSがWindows Xpであれば十分な量ですが、Vista以降では心もとない感じです。PCI-E(×1)スロットが1基あるので、一定の拡張性は考慮されているのでしょう。残念ながらBB10のケースにはスロット部が用意されていないため、せっかくの機能が無駄になります。コストダウンのせいなのか、消費電力の関係で制限をかけたのかは不明です。特長的なのはmini-PCIeカードスロットがある点で、この手のマザーとしては比較的珍しいものです。せっかくなので余っていた無線LANカードを搭載することにしました。普通ならUSBの小型ドングル型を使いますが、背面のUSB端子が少ないので空けておく目的もあります。

●マザーボード(下)
マザーボードが乗るベースの下側にHDDを固定するようになっています。一見合理的に見えますが、反対側にマザーボードがあってCPUやチップセットの熱がもろに伝わるため、HDDの発熱と相まってかなり高温になります。エアフローの関係から見ても、下から上に空気を逃がす配慮が欠けています。実際のところ、春のこの季節でも2時間程稼動させたらHDDの温度が54度と注意レベルに達しました。HDD固定位置をずらしたり、熱伝導体を介してケースに熱を逃がす等、放熱を高める工夫が欲しかったところです。低発熱のSSDに換装するのも方法ですが、XPでは弊害もあるのであまり使わないようにしています。

軽作業中心として当初は80GBのHDDを乗せていましたが、PCの整理等で大容量の2.5インチが余ってきたので、メンテナンスの際に320GBに換装しました。システム用に80GB、残りをデータ用に確保しています。用途からして過剰容量なので、録画ストックも兼ねてUSB接続のTVチューナーを導入することにしました。ベンチマークでグラフィック性能が圧倒的に劣ることを確認していたため表示に不安がありましたが、カクカクすることも無くスムーズに再生しています。DVDやBDの再生とは違うのかもしれませんが、これなら全く支障無く使えると思います。

 
TVの表示画面

ついでなのでPhotoshop等のグラフィックソフトを試してみましたが、意外にも普通に使える感じです。シングルコアの旧Atomを搭載するネットブックは何をするにももっさり感がありましたが、Atomもデュアルコア化することで実用に足る性能を獲得したようです。Atomは省エネ性能が高いと言ってもそれなりに発熱が大きく、BB10が採用するチップセットも然りです。本機のマザーでも冷却ファンが付いているように、Atomと言えどもファンレス化には結構厳しいものがあります。体感としてAMDのエントリー向けソケット型SoCプラットフォーム、「AM1」に搭載するAPU(Athlon5350等)の方が遥かに低発熱で高性能と感じます。CPUクーラーに触れてもさほど発熱を感じないし、ベンチマークでも3倍くらいの性能を発揮するので、今となってはAtomに魅力はさほど感じません。時代の違いもあるので比較するのも酷かと思いますが、ハードウェアは着実に進化していると感じます。

●ベンチマーク結果
CrystalDiskMarkでHDDの読み書きが遅いのはわかっていましたが、80GBよりも更に高性能なはずの320GBでも速度が上がらず、どうやらマザーのHDDデータ転送速度が遅いことが起因しているようです。CPUやメモリー関係は低いとは言えまずまずなので、CPUとチップセットの相性があまり良くないのかもしれません。これが全体の足を引っ張っているのは確かです。それ以上に問題なのはグラフィック性能で、一般的なデスクトップPCとしては圧倒的に低いレベルにあります。結果からすれば動画関連処理は全く期待できないので、用途としては限定されたものになるでしょう。それでも上述したTVチューナーの動作は問題無いので、ベンチマークはあくまでも参考データとして捉えるべきなのかもしれません。

CPUは性能の向上と共に確実に省エネが進む方向にあります。最も貢献しているのが回路の高密度化で、これまでは細密化を進めることで進化してきたわけです。それも限界に近付いてきたため、最近では平面だけでなく垂直方向に重ねた3D構造へ向かおうとしています。最終的な目標はPCの全機能を1チップに収めることで、近い将来それも実現することになるでしょう。後は用途に合わせてカスタマイズするだけで、様々なシーンに適合するようになっていくはずです。一方では超高性能な量子コンピューターの実現も視野に入ってきました。それが実現すればこれまでのコンピューターなどオモチャ同然になるでしょうから、全く別の次元に突入すると言っても過言ではありません。そうなるとソフトが益々重要になってくるわけで、日本がこの先も先端技術をリードしようと考えるならば、ソフトの分野でこれまでとは桁違いの努力を払わねばなりません。果たしてコロナ禍でお粗末なCOCOAなるソフトをばら撒いたり、大手銀行や東証のシステムがダウンする等の失態を起こす状態で戦えるのでしょうか。一国民としては、政府の根本的な意識改革とあまたのエンジニアの一層の奮起を望みたいものです。




● HOME ●