40.SHARP AQUOS BD-HDW32 -HDDレコーダー- (2021.2.24)

カラーサークルがユニークなブルーレイレコーダー。

HDD/BDレコーダーは、従来のHDD/DVDレコーダーの延長にあります。違いは、記録メディアに番組を保存するためのDVDドライブが、より高密度で長時間録画可能なブルーレイに置き換わっている点です。DVD等の従来のメディアも使えるので、録画・再生できるメディアは更に広範囲になりました。もっとも、既に少数派になったり終息したメディアもあるので、実際に使われるのはDVDならDVD-R、BDならBD-Rが一般的です(片面または両面)。本機は320GBのHDDを搭載する廉価版で、上位機種にBD-HDW35(HDDが500GB)、BD-HDW40(HDDが1TB)がありますが、基本的にはHDDの容量の違いだけです。

BDによってハイビジョン録画を高画質のままBDメディアに残せるようになりました(DVD時代は画質を落として記録)。更に、ハイビジョン録画のデータ量を減らすために、オリジナルの放送データよりも高い圧縮率を選択できるようになっています。技術の進歩により、後継機では更に高い圧縮率を利用できるようになりました。圧縮率を上げても画質をなるべく落とさないように、どの機種も最新の圧縮技術が投入されています。

本機の一番のウリは、伝統的な薄型のスタイリッシュなデザインと共に、レコーダー中央に配置されたHDD/BDのサークルです。状態によって色が変わるようになっていて、TV番組視聴時は白、録画時は赤、再生時は青と言った具合です。本体の操作は電源とBDトレイ開閉のみで、リモコンが無ければほとんどの操作ができません。コストダウンによって機能が削られた結果ですが、通常は本体で操作する必要はほぼ無いので、リモコンで操作できれば良いと割り切っているのでしょう。バブルの頃のVTR等は本体のボタンがてんこ盛りで、ずいぶん贅沢な作り(言い方を変えれば無駄)だったと思います。

●内部
HDD/BDレコーダーの内部は至ってシンプルです。基板は大まかに左から電源、チューナーブロックや制御系を含むデジタル処理部、RCA入出力等のアナログ処理部となっています。基板は他にフロントパネル部、B-CASリーダー部等の小物に分かれます。後はHDD、BDドライブがあるだけなので、写真のように内部はかなりスカスカの状態です。本当はもっと小型にできるのでしょうが、コストとの兼ね合い等でこの程度が妥当とされたのでしょう。他の機器にサイズを合わせる都合もあったのかもしれません。

内部の構造は、パソコンと同じでどのメーカーも似たり寄ったりです。昔はこの手の機器はメカ部分が多かったせいか、機構設計には技術やノウハウが必要でしたが、今や新入社員でも設計できそうなタダの箱と言っても過言ではありません。そのせいか、設計も雑なものが多く、日本のお家芸と言えるような代物ではありません。もはや日本で作るだけの優位性も無く、生産はもっぱら中国です。性能もほとんど各社横並びで、違いはソフトの出来の差と言って良いでしょう。

正直なところ、同社のレコーダーはさほど使いやすいとは思えず、機能的にも何となく中途半端な感を覚えます。目の付け所がシャープなところを見せて欲しいところですが、レコーダーそのものを作るメーカーも少なくなり、もはやレコーダーなどAV機器の中でも下位に属するようなものなので、それほど力を入れる気が無いのかもしれません。

本機は比較的初期の頃のBDレコーダーのため、起動や操作への反応も最近のものより遅いのですが、基本的な機能に特に違いはありません。手元にあるBD-HDW32はジャンク品として入手したもので、HDDに何らかの障害があって、元々正常に起動しないものでした。通電すると赤い電源ランプが点滅し、起動すれば点灯になるものが、延々と点滅を続ける状態です。HDDをPCでチェックしてみると、不良セクタの代替処理がいくつも発生しており、他にも保留中のセクタが複数ありました。HD Tuneと言うソフトで全セクタをチェックすると、最初の方で不良セクタがあることを発見。代替されていれば本来は問題無いはずですが、異常のまま放置された状態のようです。たぶんこれが障害になって起動しないものと思います。

不良セクタが発生した場合、普通ならまともに使えないHDDですが、PCでローレベルフォーマットを実施したところ、HD Tuneによるチェックが正常になりました。どうやら運よく代替がうまく行われたようです。代替セクタが発生することで読み書き処理が間に合わず、ブロックノイズ等の問題が起こる可能性がありますが、とりあえず使えそうなので元に戻すことにしました。フォーマットをかけたことでオリジナルの状態では無くなったせいか、そのまま戻したところ起動時にHDDの更新に失敗した旨のエラーが出るようになりました。恐らくHDDの先頭部分に何らかのデータが書かれているのでしょう。起動中に更に辞書データも使用できないと言ってきます。実はSHARPのレコーダーは、HDDを交換しても、そのままでは使えないことは承知していました。HDD/DVDレコーダーの頃からの伝統で、著作権保護のためにHDDの交換を禁止しているのです。HDDを交換するためには、特別な方法でレコーダーにHDD登録する必要があるのです。

今回はオリジナルのHDDなのですが、前述したように必要なデータが消えたために、起動時のハードディスクの更新に失敗するようになりました。同時に辞書データへのアクセスもできなくなったようですが、起動自体は可能ですし、普通に録画・再生もできます。検索などする時の文字変換に不具合が出ると思いますが、普通に使う分には特に問題はありません。それでも起動時に毎回エラーが出るのも気持ちが悪いので、たまたま手元にあったBD-HDS32のHDDをBD-HDW32のHDDにコピーすることにしました。同一機種ではありませんが同時期のモデル(BD-HDW32はダブルチューナー搭載機で、BD-HDS32はシングルチューナー)なので、もしかして使えるのではないかと予想したわけです。HDDのコピーには市販のお立ち台型のHDDマウンタを使用しました。この装置は強制的に全セクタのコピーを行うもので、用途に関係無く同一容量以上のHDDへデータコピーできます。フォーマットによって欠損した辞書データ等がコピーされて、うまくすれば起動時のエラーが無くなります。結果は予想通りで、処理の後はエラーが出ること無く、正常にレコーダーが起動するようになりました。もしかすると、この部分のデータは他の機種でも共通で、同じようにコピーすれば使えるのかもしれません。

SHARP製のレコーダーの場合、通常HDDを交換した際にはレコーダーに認識(登録)させる作業が必要です。そのためには、SHARPのサービスマンが持っている特殊なリモコン(下図)が必要です。一般的には入手できないものですが、機種が古いせいか結構出回っているようです。メルカリやヤフオクで安価(送料込みで1300円ほど)で売られていたので、ダメ元で入手して試してみることにしました。HDDの登録操作は簡単で、次に示すような操作手順を実行すればOKです。なお、前述したように交換用HDDには、あらかじめ正常なHDDからのデータコピーが必要です。

 

1.まずは付属リモコンのトップメニューボタンを押して、代表的な操作機能を呼び出します。その中から、「各種設定」を選択します。
2.各種設定項目が表示されるので、「デジタル設定」の項目を選択し、カーソルを下に移動して「システム動作テスト」を選択します。
3.システム動作テストは左図のような画面です。ここでサービスマン・リモコンの電源ボタンを押します。
4.すると「メイン検査メニュー」が表示されます。この画面は通常のリモコンでは表示されず、サービスマン・リモコン専用のコマンドで呼び出されます。
5.再び付属リモコンを使います。次は4色ボタンの「赤」色を押します。メニューとしては「エージング」の項目を選択するわけです。
6.PVR検査メニューが表示されるので、付属リモコンの移動ボタンを使って、HDD-ID登録の右のOFFボタンに移動します。クリックするとOFFからONに変化します。しばらくすると右端の部分が「済」となり、HDDの登録作業が完了します。このまま電源ボタンを押して一度電源を切り、再度起動すれば新しいHDDが使用可能になります。

上記の操作によって、起動時にエラーが出ることは無くなりました。その後、いくつか番組を録画しましたが、特に不具合も発生しないようです。HDDの問題をクリアしたことで、無事BD-HDW32は復活を遂げました。めでたし、めでたしです。入手したサービスマン・リモコンが利用できる機種は制約があるようですが、もしも機会があれば他のサポート機種でも試してみるつもりです。1TB程度までのHDDなら中古も大量に出回っていて。価格も廉価で修理コストもさほどかかりません。注意点としては、換装用にはAVコマンドが実行できるHDDに限られるため、汎用HDDがどれでも使えるわけでは無い点です。BD-HDW32では、WD製のモデル名にAVが付くものが使えます。

今回は不調のHDDをPCで再フォーマットすることで使用可能になりました。大抵は一度不良セクタが発生したHDDは不具合が起きる可能性が高く、正常なHDDに換装する必要があります。もっとも最近のHDDは高品質で故障も少なく、むしろBDドライブの方が遥かに故障頻度が高くて、交換コストも高くなりそうです。BDにしてもHDDにしても物理的な交換作業自体は簡単です。SHARP製のこの時代のHDD/BDレコーダーは分解も一目瞭然なので、ドライブ交換作業は素人でも簡単にできます。HDDの場合は新たに登録するためにサービスマン・リモコンが必要ですが、BDの方は単に交換するだけで済みます。昨今では、オークションなどで古い同社レコーダーのジャンク品が捨て値で大量に出品されているため、運が良ければ格安で修理することもできるでしょう。

<補足>
一般的に言って、HDD/BDレコーダーの故障の多くはBDドライブの故障です。これはDVD時代からの伝統のようなもので、光学ドライブの耐久性が低い証拠です。主にレーザーピックアップ部分の故障だと見られ、高温によってレーザー素子が劣化するのだと推測します。BDドライブにしてもPCではあまり壊れた経験が無いので、HDD/BDレコーダー特有の問題があるようです(HDD/DVDレコーダーでの故障をそのまま引き継いでしまっている模様)。以前は静音化のためにファンによる冷却が不十分で、内部が高温になることによって壊れ易くなると考えていましたが、昨今のHDDはそこまで爆熱では無いので、他にも故障要因があるのかもしれません。コストダウンの影響を色濃く反映している可能性もありそうです。




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