36.自作PC ローコストAPU搭載<AM1I> (2019.5.3-2021.4.20)

Mini ITX Housing S145(Mini-ITXケース)にAM1Iを組み込んだ自作PC。

Mini-ITX規格のマザーボードを組み込んだPCとしては、今回はかなり小型の部類に入るものです。ケースはAOpen製のS145で、写真のようにとてもスリムです。縦置きすれば設置面積もあまり必要としません。机の上に置くならこの程度が良いと感じます。小さいながらも光学ドライブ(スリムタイプ)1基を内蔵でき、3.5または2.5インチのHDD/SSDを搭載できます。電源も内蔵しているため、すっきりと収まるのも嬉しいところです。ケースに排気ファンが1基付いているため、内部に熱がこもるのも防げます。電源は160Wと小容量なので、省エネのマザーを念頭に置いて設計されているのでしょう。

この手のケースはCPUにATOM(intel)やE-350(AMD)を搭載するマザーが一般的ですが、もう少し処理能力が高いPCを目指し、前回と同じくAMD製APUを搭載するマザーを選択しました。ただし、こちらで対応するAPUは性能が1ランク下で、より省エネで低価格のモデルになります。今回採用するのはデュアルコアのAthlon5350で、シリーズ中では上位クラスに入ります。それでもマザーボード込みで1万円強と言ったところでしょうか。マザー上の装備も必要最小限と言った感じですが、USB3.0やギガビットイーサーネット等も装備しているため、実用的でコストパフォーマンスの高いPCを目指すには最適です。

それでは今回組んだPCの部品概要です。
マザーボード:AM1I(msi)
CPU:Athlon 5350(AMD)
RAM:8GB<PC3-10600 4GB×2枚>
SSD:128GB
光学ドライブ:スリム型DVDスーパーマルチドライブ
電源:160W(ケース内蔵)

メモリーは8GB実装しているので、OSはWindows 7の64bit版をインストールします。省エネを重視して拡張ボードは無しです。もっとも、元々ケース自体に拡張ボードを設置する余地はありませんが。また、マザーボード上にS-ATAコネクタが2基しか無いため、SSDとスリムDVDドライブのみの構成にします。ストレージ容量が不足する場合は、USB接続の外付けドライブかUSBメモリを利用するつもりです。

●内部
電源内蔵のために必要最小限のケーブルしか無く、ドライブ類も少ないので全体の配線がすっきりと収まります。 右上に見えるのが排気ファンです。付属のものはやや騒音が大きいので、Biosで回転を落としています。CPU用ファンもクーラーも小型ですが、稼働していてもほとんど熱を持ちません。さすがに省エネAPUだけのことはあります。電源容量にも十分余裕があるのか、電源からの発熱も少なくてGOODです。夏場に長時間稼動させても安心でしょう。

レイアウトもシンプルそのもので、電源ケーブルも必要最小限のため、メンテナンスがたいへんしやすくなっています。キューブ系の深いケースでは、配線等が邪魔になって手がマザーボードに届かず苦労することも多いのですが、このケースでは楽々作業が出来ました。板金の剛性も満足のいくもので、基本を押さえた優秀なケースだと思います。恐らく売価も安価だったでしょうから、後は電源の耐久性次第で評価が決まります。

AM1Iは一般的なボードレイアウトを踏襲しており、自作経験者なら簡単にセッティング出来ると思います。S-ATAコネクタがボード中央寄りにあるのも作業がしやすくて良い点です。省エネAPUのためヒートシンク等も場所をとらず、開放的でボード全般にアクセスしやすいのが特長です。特に自作初心者の場合は、このような製品が理想的ではないかと思います。


●前後パネル
フロントパネルの正面は、近頃よく見かけるピアノブラックです。傷等が目立つので好みではありませんが、周囲の部分はシボ加工がしてあるため丁寧に扱えばさほど問題は無さそうです。パネルデザインは至ってシンプルで、わかりやすく使い勝手が良い配置です。

●ベンチマーク
オンボードのみによる構成ながら、総合的なベンチマーク結果は結構高い値になります。かつてデュアルコアでは最上位ランクだったintel製のCore2 Duo E8500よりも、全てにおいて上回る結果です。同じAMD製の旧Athlon IIX2を凌駕しつつ、消費電力では格段に低くなっています。ローエンドでありながら、省エネと性能を両立させる新世代の格の違いを見せつけています。これだけの性能があれば、日常の軽作業ならほとんどが無難にこなせるでしょう。スマホやタブレットに対抗するために、PCも順当な進化を遂げていると言えます。

オリジナルデザインのPCでは手のひらに乗るようなコンパクトなものもありますが、発熱の問題や性能の面で実用的にはやや疑問符が付きます。その点、規格品でこれ位小型になると、必要な性能を確保しつつ使い勝手もとても良くなります。まさに日常使うPCとしては、理想に近いものと言えます。一般的な家庭用PCでは必要以上の性能は無駄でしか無いので、実用性を重視するならこのようなPCが最も手頃な選択肢になると思います。

<補足>
今回採用したマザーボードに搭載するAPU(Athlon 5350)がとても満足がいくものだったので、その後に同シリーズのAPU(ソケットAM1/プラットフォーム名はSocket FS1b)を採用したMini-ITXのPCを何台も組み立てました。AMDもintelにしても、流れはグラフィックチップを統合したAPUへ移行していますが、このシリーズに限れば種類はさほど多くは無く、5350以外に最上位の5370、下位の5150、それにSempron 3850と同2650だけです。実はそれ以外にもグラフィックチップ(GPU)を無効化したAthlon X4の530と550があるようですが、特定のマザーボード向けのようで、実物は見たことがありません。Sempron 2650がデュアルコアで、それ以外は全てクアッドコアになっています。もはやCPUコアが4個あるのは当たり前の時代なんですね。いずれもTDPは25Wと非常に低いです。GPUも内蔵しながらの消費電力なので、抜群の省エネ性能と言えるでしょう。廉価でバランスの良いPCを組むことを考えると、このシリーズはたいへん魅力的です。

とは言え、2021年現在ではTDPが10W程度の更なる超省エネAPUが登場しているので、ハードウェアの進歩はすさまじいものです。昨今ではCPUコアも6個とか8個とか、16個などと言うものもあって、もはやスーパーコンピューター並のレベルです。もちろん家庭用ではこんな超高性能は宝の持ち腐れなので、個人的にはやはり省エネで性能的に満足がいけばそれで良いと考えています。コンシューマー向けにCPUパワーを追い続けていた頃とは、もはや一線を画す時代なのでしょう。それに比べてWindowsの進化の停滞は目に余ります。10などは実に使い勝手が悪いし、もはや期待すべき対象にはありません。これからはスマホやタブレットの超高性能・超省エネ化の方に興味の対象が移りそうです。




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