29.小型ATX PCケース (2019.1.24-2019.2.20)

Micro-ATXケース並みの小型ATXケース ELiTE 360 (COOLER MASTER)。

一般的なマザーボードで大型と言うとATXサイズになります。当然収納するケースも大型になるわけですが、家庭用として使う場合はできるだけ小型であって欲しいものです。しかし、ATXのマザーを選択した時点で拡張性が重要になるのか、市販ケースを見渡しても大型ばかりであまり小型のものは見当たりません。そんな中で今回ご紹介するケースは、標準サイズの拡張ボードやドライブ類を搭載しながら、極力コンパクトに設計されたものなのです。写真だけではわかりにくいですが、全体的な大きさは標準的なMicro-ATXマザーを搭載するケースとほとんど変わりません。ロープロファイルの拡張ボードを搭載する、省スペース型の小型ケースもあるにはあるものの、標準タイプでこのサイズは珍しいと思います。運良く入手できたため、丁度整備済みだったATXマザーを収納してみました。参考までに、現在は後継のELiTE 361が販売されています。

実はこのマザー、電脳知恵袋のコーナーの13番目に紹介した「ISRTを利用したWindowsの高速化」でトライしたものです。一度別のケースに収納したところ、あまりに粗悪なケースだったために途中で断念し、そのまま棚上げになっていたものです。新たに入手したケースは中古ながらなかなか状態の良いもので、満足のいく完成度になることを期待したいと思います。ただし、ケースのフロントパネルの側面等は私の嫌いなピアノブラックになっていて、やはり細かな傷がたくさん入ったものでした。そこで例によって荒隠しのためにクリア塗装を施します。ちょっと複雑なラインでマスキング困難なことから、まとめてパネル全体を塗装することにしました。材質のせいか静電気を帯びやすく、細かなホコリを引き寄せて予想以上に困難な作業でした。仕上がりの採点は80点といったところでしょうか。まずまずの出来にはなったと思います。

小型化のためケースには色々なアイデアが盛り込まれています。早速詳細を見ていくことにしましょう。最初に目に付くのは、ドライブ類を縦に設置するようになっている点です。このアイデアによって横幅を縮めることに成功しています。ドライブベイは横に3列並んでおり、左から5インチ、5インチ、3.5インチとなっています。これらのドライブの上に3.5インチのシャドウベイが1基用意されていて、3.5インチのHDDを合計2基搭載できます。ISRTで2基のHDDを使うので、ちょうどここに収まる計算です。そのため、一番右のベイにはカバーを付けてHDDが見えないようにします。中央は5インチのBDドライブ、左は3.5インチのHDDラックを取り付けました。HDDラックは縦置きに対応するかわからなかったのですが、構造的にはバネ材によってHDDを押さえつけるようになっていて、丁寧に扱えば抜き差し可能であるようです。説明書にも特に禁止事項には書かれておらず、恐らく推奨はしないものの設計上はOKなのでしょう。このケースは横置きも可能で、フロントのメーカーロゴプレートは回転するようになっています。ただ、明らかに縦型のデザインなので、横置きははっきり言って美しくありません。両用ならもう少しデザインを考えるべきです。

●内部
内部は非常にシンプルです。ドライブ類はスライド式の補助具で前からセットするタイプで、マウンタ自体は金属の枠だけといった感じです。ドライブベイの下に電源をマウントする部分が用意されています。電源スイッチがフロントパネルで隠れるため、スイッチでオン/オフすることはできません。電源はマザーボードと干渉しないよう、奥行きの短いタイプを選択しました。ボードによっては普通サイズでも大丈夫だと思います。前部にドライブや電源等の重量物が集中するため、重量バランスがかなり悪い点に注意が必要です。うっかり持つと前側にひっくり返ることにもなりかねないので、慎重に扱わなければなりません。

続いて今回組んだPCの全貌を解説します。まずは使用部品の概略です。LGA1055ソケットのATXマザーなので、かなり高性能を狙えるわけですが、今回も手持ち部品の関係等で前のDragon Slayer並を目標にしました。性能よりも実用性と安定性を重視したいと思います。
マザーボード:GA-Z68P-DS3(GIGABYTE)
CPU:Core-i5 2500(intel)
RAM:16GB<PC3-10600 4GB×4枚>
光学ドライブ:ブルーレイ/DVDスーパーマルチ
HDD(システム/データ用):500GB×2基(RAID0)+SSDキャッシュ(64GB)
HDDラック:3.5インチS-ATA用(Groovy)
グラフィックボード:GTX650Ti(ELSA)
USB3.0ボード:外部2ポート(クロウトシコウ)
ビデオキャプチャーボード:
電源:KRPW-N500W/85+(クロウトシコウ)

グラフィックボードはゲームPCとしては今回もミドルクラスですが、普通の作業には十分過ぎる性能です。ボード長が短くて組み込みやすく、消費電力も控えめのため電源容量にも余裕があり、安定性の面でも安心できます。1点誤算だったのは、HDMI端子がmini-HDMI規格であったこと。ケーブルを差し込もうとして違いに気付きました。(汗)
わざわざ小さくする必然性は無いので、まったく余計なことをしてくれたものです。


●全体像
これが完成した小型ATX機の内部です。電源は奥行きの短いタイプで、写真のようにドライブベイの枠とサイズがピッタリ同じになりました。しかも、電源ケーブルがメイン以外はフラット型のケーブルになっているため、あまりかさばることなくすっきりと収まります。内部は意外にスペースがある感じで、ケースサイズの割にはケーブル類の取り回しが楽です。ATXマザーなので拡張スロットが沢山ありますが、今回はPCIスロットは何も付けずにおきます。追加するのはPCI-Eスロットのみで、グラフィックボード、USB3.0ボード、それに持て余していたHDMIビデオキャプチャーボードです。ある程度処理能力があるので、外部の映像/音声を取り込めるようにしました。
●前後パネル
フロントパネルのドライブは、左からHDDラック、BD、システム/主HDDの片方(カバーで目隠し)です。もう片方は上側のシャドウベイに取り付けています。下部にはUSBとオーディオ端子があります。以前はこのようなレイアウトが一般的でしたが、USBメモリを多用する昨今では抜き差しが楽なように上部に配置することが多くなりました。

マザーが少々古いこともあって、シリアル/パラレルポート標準装備です。これらも最近はほとんど使う機会はありません。拡張スロットは上からグラフィックボード、USB3.0ボード、キャプチャーボードです。PCIスロット2基は使用しません。周辺機器をUSBで使用することが多くなり、拡張スロットの必要性をあまり感じなくなってきました。現在ではオンボードグラフィックの性能も上がり、通常使用ではグラフィックボードを増設する意味も薄れてきています。光学ドライブ自体も滅多に使うことが無くなって、PCはシンプル化の流れが加速しているようです。

●ベンチマーク
CPU関連、メモリー、グラフィックボードの値が高く、性能バランスも悪くありません。Windows7のシステム評価もかなり高い値を示していて、性能目標は達成できたと思います。ただし、全体としては今回の目玉であるSSDキャッシュと、RAIDによるHDDの組み合わせが多少足を引っ張っているようで、性能の底上げを図るには純粋なSSD化以外に無さそうです。

SSDキャッシュによってHDDの見かけ上のアクセス速度が上がっているとは言え、純粋なSSDと比較すると見劣りは否めません。特に小さなファイルの読み書きには結構差が出ます。使用したSSDが少し古いモデルで、その性能による伸び悩みかもしれませんが、今なら大容量のSSD(特にTLC型)がかなり安くなってきているので、むしろシステム用には最近のSSDを使用した方が効果的です。その上で高速な大容量のデータ記憶装置として、今回のISRTを利用するのがベターだと思います。いずれSSDが更に安く大容量化すれば、迷うことなくSSDを選択することになるでしょう。

参考までに、ATXマザーを搭載できる小型PCケースとしては、サイズ製のSARA4が有名(?)です。こちらはスリム省スペース型で、拡張ボードはロープロファイルになります。小さいので色々制限がありますが、とにかく小型にこだわるなら一択と言えるでしょう。ただし、板金はペラペラで仕上がり精度も悪く、内部も狭いのでケーブル類の取り回しも大変です。フロントパネルの左下にはファンの回転数や温度を表示するLCDが付いているのですが、これが単に派手なだけの悪趣味なデザインで、コストアップにつながる余計な代物と言わざるを得ません。こんなものを付ける位なら、ケースにもっとコストをかけるべきでした。・・・と、酷評してみたのですが、実は小ささに負けて手元に1台確保しています。もっともLCDのことは眼中に無かったので、知っていたらパスしたかもしれませんが。いずれその自作PCについても紹介したいと思います。




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