23.Panasonic NV-V10000 -VTR- (2016.2.22)

ついに真打登場!! これぞ究極、アナログVTRの最高峰。

バブル時代には様々な高級VTRが登場しましたが、その中でも最高峰に君臨するのがPanasonic製のNV-V10000です。ビデオマスターの名称にふさわしく、全てに王者の風格を備えます。1989年発売なので、まさにバブルの絶頂期。なんと総重量が19.8kgもあり、他を圧倒する紛れもない超弩級VTRでした。受注販売の定価41万7000円と言うのは、当時の民生家電品としては衝撃的なデビューです。

とても興味ある存在だったので、いずれ状態の良い製品を入手する前哨戦として、予備部品確保の目的も兼ねてジャンク品を入手してみました。商品額1,100円+送料800円の合計1,900円で、実に定価の99.5%引きです。もっとも、ビデオテープは既に終わって久しいメディアだし、いくらかつての高級機だったとしても、古くて動作しないジャンク品などゴミ同然です。こんなものを今時欲しがる人間などそうはいないでしょう。

そんな事情はさておき、最終目標は故障して動作しない外観良好なコレクション級のものです。その際の修理に役立つなら、今回の計画は有意義になると思います。それにしても、こんな高価な代物を誰が買うのかと思いきや、オークションだけでも結構出品があることから、さすがバブル期だけあってかなりの台数が売れたようです。恐らくバブル特需で儲けた企業や、税収で潤った自治体等による需要がそれなりにあったのでしょう。

●操作パネル
フロント扉内の操作パネルです。最高級機だけあって、多彩な編集機能を備えています。リモコンなど無くてもほとんどの操作が出来そうです。

入手したジャンク品は最初はテープをローディングしたものの、内部で絡まってワカメ状態になって排出されてしまいました。この種の不良はVTRではよくある症状で、メカが劣化してくると現れる宿命のようなものです。しかし、カバーを外してメカの動きを確認しようと再度テープを入れてみたら、今度はきちんとローディングしました。しかも再生や早送り、巻き戻し等も正常に動きます。どうやらメカ自体はまだ健在のようです。初期の不調はグリスや潤滑剤が固まる等してメカが重くなっていたからでしょうか。嬉しい誤算なので入念に調査したいところですが、今はこのVTRにかまっている時間がありません。簡単にチェックして保留としましょう。

●サイドプレート
これだけでも1枚が1.1kg、両方で2.2kgもあります。特殊な合金で作られていて、表面も普通の塗装とは違い粗い粒子を吹き付けたような仕上げです。恐らく重量級なので滑り止めも兼ねているのでしょう。カバーの裏にも重い鉄板が貼り付けられており、シャーシーも厚い鉄板にアルミダイキャストを多用して、徹底した剛性の確保と振動対策を施しています。おかげで重量が半端でなく、持ち上げただけで腰を痛めそうです。
●デッキメカ
メカはベース全体がアルミダイキャスト製で、写真ではわかりませんがかなり厚みもあります。見るからに堅牢で、さすがにコストのかけ方が違います。バブル期でもなければ、こんなモンスターマシンはとても作れないでしょう。

リールモーターはダイレクトドライブになっており、カセコンの隙間からコイルが見えます。ギアが少ないのでメカとしては逆にシンプルです。高級機にふさわしい、信頼性の高いメカを実現しています。

●電源部
電源はデジタルとアナログが独立しており、それぞれの電源トランスが誇らしげに鎮座しています。しかも、こんな見えないところにまでPanasonicの銘板を付けるなど、今では考えられないような贅沢さです。

資料によれば、本機は5DDモーターとなっています。主要な部分がダイレクトドライブ構成なので、経年劣化が少なく長期間メンテナンスフリーの設計です。メカの動作が非常に静かなのもその恩恵と言えるでしょう。こんなジャンク品でも動作するだけあって、さすがに良くできたメカだと感心します。ただ、1ヶ所だけゴムベルトが使われており、それがウィークポイントとなっているのが残念です。

ネットで得た情報によると、本機には大きな問題が2つあります。1つは当時の他の機種同様にHICの電解コンデンサ劣化です。HIC上の表面実装コンデンサが電解液を吹いて、ひどい時には基板や他の部品まで侵食して破壊します。もう1つはフロントの操作パネルと本体を結ぶフレキシブルケーブルの劣化による断線で、これが起こると操作不能になったりボタンと動作が一致しなくなるようです。

幸い本機はどちらの症状も発生していませんでした。もちろん部品を目視したわけでは無いので、実際の劣化状況はわかりません。少なくとも電解コンデンサの問題は必ず発生するので、予防措置で部品を交換しておくのが賢明だと思います。しかし、それをするにはかなり分解しなければならず、交換に失敗するリスクも結構高いものがあります。現段階ではやはり二の足を踏んでしまいます。それに、現状で正常と言う事は既にメンテナンス済み(修理品)の可能性もあります。触らぬ神にたたり無し・・・、といったところでしょうか。

<追記>
本機はあまりに重量があり場所もとるため、2017年に売却しました。とにかく移動するだけでも大変で、本当に腰を痛める可能性があったからです。動作品で惜しかったのですが、背に腹は変えられないのであきらめました。




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