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17.TEAC W-860R -カセットデッキ- (2015.12.10)
本機は2006年11月に生産を終了しています。発売が1998年頃らしくて、ずいぶん息の長い商品と言えます。現在でも同社からカセットデッキは販売されており、現行モデルのダブルカセットではW-890RMKIIとなっています。カセットテープはかなり以前に歴史的な役目を終えたメディアで、今はそのテープ資産を活かす意味で販売が継続されているに過ぎません。恐らく新モデルの開発に割く予算も人材も乏しいので、マイナーチェンジが続いているのでしょう。カセットデッキと言えば、VTRが登場するまで家電メカトロニクスの最高峰とも言える芸術品でした。特にバブル期にはこれでもかと言わんばかりの技術を投入し、高価な部品と無駄とも思える部材を惜しみなく使った傑作が数多く登場し、日本の技術水準の高さを誇ったものです。 しかし、バブルの崩壊後はコストダウンに次ぐコストダウンで生産も海外に移り、メディアが一線を退いてからは益々それが加速されました。芸術とも言えた精緻なメカはまるでオモチャのようになり、デッキ性能の低下は火を見るよりも明らかでした。そこでコストダウンの影響がどの位あるのか、実際この目で見たくて本機を入手するに至った次第です。だから本機には全く思い入れも無いし、調査後にはすぐに放出するつもりでいます。デッキと言えども音質などはかつてのラジカセ以下でしょうから、例え入手困難な美品だったとしてもコレクションする興味もありません。老舗のプライドを捨ててまでこのような機械を販売し続けるのは、未だにメディアを所有するユーザーに対するメーカーとしての責務だと考えているのかもしれません。だとすれば、採算だけを重視して効率化のためにいとも簡単に事業を切り捨てるメーカーに比べ、遥かに高い理念を持つ会社だと思います。願わくば最終モデルとも言える現在の製品には、たとえ高価であってもメーカーの技術力の粋を結集したものをラインナップに加えて欲しかったと思います。
さすがにコストダウンの極致のデッキだけあってそれなりの音なのですが、PCに取り込んでMP3等に圧縮するのであれば、この程度でも構わないのかもしれません。バブル崩壊前のカセットデッキは良い部品が使われていたせいか、電気回路が未だに正常に機能するデッキも数多く残っています。さすがにベルト等の機構部品は劣化してメカ的には故障しているケースが大半ですが、ベルト交換すれば復活する可能性も高いのです。ベルトも知恵袋コーナーの「10.ゴムベルト復活作戦」で紹介したような方法で自作できるので、腕に覚えのある人は挑戦してみてはいかがでしょう。ただし、ゴムの材質は耐久性に直結するため、十分吟味する必要があります。昔はオーディオ機器を大切にする人が多かったので、今でも運が良ければ新品のような外観のデッキが入手できる可能性もあります。
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