11.SHARP AQUOS DV-AC52 -HDDレコーダー- (2015.2.19)

薄型でスタイリッシュなフルハイビジョンレコーダー。

HDD/DVDレコーダーは、従来より日本の家電メーカーの独壇場です。シャープはVTRの頃からレコーダー分野にも力を入れており、液晶TVの展開に合わせてAQUOSブランドのHDD/DVDレコーダーを多数市場に送り出してきました。その中の1つがこのDV-AC52です。同社のレコーダーの中ではスタンダードな機種で、250GBのHDDとDVDスーパーマルチドライブを搭載します。シングルチューナー機なのでW録には対応しません。当時はまだ地上放送がデジタルとアナログ両方だったため、アナログチューナーも搭載しています。上位機種にDV-AC55(HDDが500GB)、DV-ACW52(DV-AC52のWチューナータイプ)等があります。

本機の一番のウリは、電源オン後約0.8秒で起動する業界最速の一発起動でしょう。HDDレコーダーは起動が遅いと言うイメージを払拭するユニークな機能ですが、待機中も稼動時とほとんど変わらない電力を消費する(待機と言っているだけで、実際には機械は稼動しています)ので、寿命と節電の観点からはあまり好ましくありません。以前、三菱のレコーダーでも似たような機能があり、起動後1.5秒程で録画開始できました。瞬速が必要なのは録画開始時だけなので、これに的を絞った設計は合理的です。どのように実現したかと言うと、最初はメモリーに記録しておき、HDDが起動したらそちらに記録を切り替えるのです。もちろん最初にメモリーに録画した分は、HDD起動後にコピーされて通常録画と同じ状態になります。これなら稼動状態で待機させる必要も無いので、より優れた方法だと言えます。ただし、コストはそれなりにかかると思います。

本機は標準でHDMIやD端子を搭載しており、フルハイビジョンの出力が可能です。ただ、本機の場合に注意しなければならないのは、出力がHDMIに設定されていると、RCAアナログ端子に映像が出力されない点です。また、HDMIが接続されていると、RCAにはメニュー等が表示されません。これらの変な仕様のため、中古販売等では壊れていると勘違いして、ジャンク扱いにされるケースも多いようです。

本機はシングルチューナーですが、液晶テレビAQUOSとi.LINK接続(同社はファミリンクと呼称)することで、テレビ側のチューナーを利用しての録画も可能なようです。つまり、TVのチューナーも併用することで、デジタル放送の2番組同時録画もできるとのことです。なかなか目のつけどころがシャープですね。AQUOSファミリンクで、テレビ側からレコーダの電源ON/OFFも自動で行なえるので、より便利に使えることでしょう。

外観はシルバーを基調としたメタリックで、薄型のスタイリッシュなものです。画質・音質共に良好。動作状況はフロントパネルのサークルの点灯色で教えてくれます。メニュー等の操作性は可も無く不可も無くと言ったところでしょうか。初期設定はナビに従って簡単に進められる点が良い点です。レスポンスも良い方だと思います。ただ、各種操作画面はそこそこわかり易いものの、ありきたりで家電メーカーの本領を発揮しているとは言い難いものです。DVDは使う機会が少ないとは言え、本機のリモコンはHDDとDVDの切り替えボタンがフタの中にあるので、いちいちフタを開けて切り替えなければならないのも煩わしく感じます。

当時はHDDにサムスン製が使われていたせいか、結構HDDが故障することが多い印象です。換装しようにもサービスマン用リモコンを必要とする等簡単にはできないため、そのまま廃棄されるケースが大半です。著作権等の問題やメーカーの都合があるとは言え、高価な家電なので簡単に修理できるように配慮すべきです。一方、DVDは壊れても同型と交換するだけで修理できるので、延命の道は残されています。分解する際にDVDのベゼルが邪魔になるので、側面にある小さな穴に細い棒を押し込んで、手動でトレイをオープンさせベゼル部分を取り外します。トレイの先端にはめ込まれているだけなので、上に引き上げれば外れます。

<補足>
一般的に言って、HDD/DVDレコーダーの故障の多くはDVDドライブの故障です。消耗品であるはずのHDDよりも個人的には多いと思っています。PCではあまり壊れた経験が無いので、HDD/DVDレコーダー特有の問題があるようです。おそらく静音化のためにファンによる冷却が不十分で、内部が高温になることによって壊れ易くなるのでしょう。また、コストダウンで安い部品が使われていることも一因なのかもしれません。とにかくHDD/DVDレコーダーは、家電の中でも最も壊れやすい部類の機械です。そもそもHDD等はどんどん大容量化・低価格化しているため、メーカーもろくに補修部品をストックしていません。だから、修理に出すと新しいモデルに交換されることもあるくらいです(それはそれで得?)。修理自体が高額な価格設定なので、それよりも新製品を購入した方が良くなってしまいます。こうした無駄な買い替えをしなくて済むように、メーカーももっとユーザー寄りに考えるべきでしょう。最初からHDDを(各社共通の)カートリッジ化するなどしていれば、多くのレコーダーが救われるはずです。

ところで、HDD/DVDレコーダーは世界的に見るとあまり普及していないと聞きます。どうやら外国では録画する習慣があまり無いようなのです。日本人のようにマメに録画して、更にDVDにまで残そうとする方が珍しいのでしょうか。なるほど、再生機があれば十分であれば、何も高価なレコーダーを買う必要も無いわけです。日本でも多チャンネルデジタル放送が全盛となり、厳しすぎる録画制限等に嫌気をさして、録画どころかTVそのものも見なくなる傾向があります。かく言う自分自身も、最近ではあまり録画機の必要性を感じなくなってきました。録画も編集もままならないようでは残す意味も無く、この手のアイテムも先はそう長くは続かないかもしれません。まるで日本の家電の凋落と歩調を合わせるかのようです。VTRの頃の楽しさが懐かしいですが、これも時代の流れなのでしょう。




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