■AD-BOOKシリーズを総括

これまでAD-BOOKシリーズのバリエーションを紹介してきましたが、ここで総括してみましょう。最後のビューワーとなったROOTS及びROOTS FREEをリリースした時の全体イメージは下図のようになります。Lite及びSuper Liteは既に後継モデルに移行していたので除外しています。AD-BOOKは長い間AD-bookのロゴで通してきました。先進を意味するadvancedのADを強調する意味を込めてのことですが、ロゴとしてはバランスが悪いため、最終的に全て大文字のデザインに変更しています。(下図はそれ以前に作成したもので、まだAD-bookとなっています)

AD-BOOKシリーズは基本的にネットでもローカルの環境でも動作しますが、MIRAGEとSalaは便宜上ネット配信専用と表明しています。この二者は、当初COSMOLIGHTのネット配信サービスとして利用する目的があったからで、実験運用はしたものの本格的なサービスの運用には至りませんでした。ediaとDream-eyeはラインナップには入っていますが、商用電子ブックとしての将来は見込めず終息となっています。どちらも電子ブックの可能性は秘めていましたが、Javascriptを元に構築したプログラムではセキュリティ等に課題があり、将来は無いとの判断になりました。

シリーズ最終版と位置付けるROOTSは、個人のコンテンツ発信のツールとして、また、手軽な文房具のようなツールとして最後まで残しました。シンプルな構造のROOTSは、一部の機能を除けば現在でも動作します。ROOTSの持つ様々な機能と使い勝手は、2021年現在でも決して色あせてはいません。むしろ多くの電子ブックビューワーに足りない要素を、今でも保ち続けていると考えています。しかし、古いHTMLのルールで作られたROOTSでは、W3Cの定める最新のルール「HTML5」には適合しない部分が多々あります。いつ動作不能に陥っても不思議では無いため、今となっては終息への道しか無いわけです。ROOTS Freeも同じで、AD-BOOKの歴史は両者をもって終わりました(2022年に再開)。Free版はフリーウェアとして当サイトでも提供していたので、体験頂いた方もあるかもしれません。ROOTSのように簡単なルールさえ理解すれば誰でもオリジナルの電子ブックを作れる、そんなコンセプトのツールをぜひとも実現して欲しいと願っています。

スマホやタブレットの普及によって、電子書籍の環境は以前よりもかなり整ってきたと思います。実際、小説やコミックを販売したり配信するサービスは年々盛んになっていて、アマチュアが参入するハードルも下がっています。一番の要因は、amazonや楽天koboと言った電子書籍販売サイトが、一般から広く販売する書籍を募集するようになった点です。出版社を通すことなく誰もが出版可能となれば、今後は爆発的に電子書籍が増えるものと思われます。数が増加すれば平均的な質は下がるかもしれませんが、作家の裾野が大きく広がることでしょう。そうなれば新たな才能の開花にも弾みがつくのではないでしょうか。