■フリーウェアで公開の「ROOTS FREE」

ROOTSの完成後、AD-BOOKを広く公開するために、ROOTS(以後、ライセンス版と記載)の機能限定版であるフリーウェアのバージョン「ROOTS FREE(以後、フリー版と記載)」を作りました。当サイトでもダウンロードサービスを行っていましたが、現在は終了しています。ネット上からなら今でもROOTS系は概ね動作するのですが、ローカルではメインウインドウを開くものの起動に至りません。また、サウンドは元々ややイレギュラーな形で実現していたため使えません。恐らく前者はブラウザによるセキュリティが原因だと思いますが、回避策が見つからず放置状態です。一時はポップアップウインドウでは無く、タブを開いて実行するようにも検討しましたが、大掛かりなプログラムの変更になるため断念しました。

フリー版は構造としては初期のAD-BOOKに近いもので、ベースとなっているのはAD-BOOK「Lite」であり、厳密に言えば電子ブックを構築する仕組みもライセンス版とは異なります。ただし、コンテンツレベルではライセンス版と互換性があり、一部の変更で容易に移行することができるように配慮しました。章数やページ数には制限がある(最大章数20章、最大ページ数100ページ)ものの、個人で電子ブックを作るには十分だと考えています。ページに画像とHTMLが使える点は同じで、アクティブなコンテンツも実現できます。ただし、ページを自動判別する機能は無く、画像かHTMLのどちらか一方で電子ブックを構築しなければなりません。スタートプラットフォームは下図のようなもので、ライセンス版と異なり最小限の機能になります。

下図はフリー版のメイン画面です。上部に章番号やタイトル類等を配するのは同じですが、しおり機能は搭載しません。右のコントローラーもややシンプルとなっていて、ページ移動ボタンはフルサポートで自動ページ送り&スクロールもできますが、IPC機能やページをさかのぼる機能は搭載していません。サウンドのサポートは章単位で動作するBGMのみです。

電子ブックに必要十分な機能を備えているので、フリー版は幅広く応用できます。中でもマニュアルとしての利用が最も適しているのではないでしょうか。単独の電子ブックとして動作するために別途アプリケーションは必要無く、HTMLやJPEG画像で構成するため容量も小さく済みます。動作も軽くて任意のページ移動も簡単なので、使い勝手も大変優れています。ブラウザで動作するため、基本的にはあらゆるプラットフォームで読むことができるものです。更に簡単にネットにも公開できるメリットもあります。

個人的な利用なら、小説やマンガ、写真等の電子ブックに適しています。ページデータさえあれば電子ブックの制作は簡単なので、ラフな文章や絵等を集めたメモ帳にするのも便利に使えそうです。本コーナーでは追って技術的な面も解説する予定なので、その時に準備するデータ等についてもお話することにします。ソフトウェアの構造等についてはそれなりに専門的な知識が必要ですが、データは簡単な仕組みで成り立っているため、誰でもたやすく理解することができるでしょう。

ROOTS Freeは電子ブックと言ってもバインダーのようなものなので、イメージとしてはページを用意して一つにまとめたものと考えて差し支えありません。制作する側はページデータをまとめてフォルダに収め、設定ファイルをテキストエディターで少々編集するだけの簡単な作業です。子供でも片手間にできるもので、難しい知識は必要ありません。コンピューターの基礎知識だけで、誰でも電子ブックが作れるのがコンセプトなのです。現在のブラウザで問題無く動作するのであれば、ぜひともお勧めしたいブックリーダーです。既に開発が終了して久しく、Webの進化で現状の環境に合わせてリニューアルすることは困難ですが、もしかすると気まぐれで再開発に着手するかもしれません。その時には改めて告知したいと思います。(2022年初頭、新作のAD-BOOK "WIND"を開発。まさに現在ご覧頂いています。)

ROOTS Freeは本サイトでも未だ現役で使用しているので、実物を体験することができます。ライセンス版同様にローカルでは起動できない不具合がありますが、こちらもネット上ではChrome(バージョン90)で使用できることを確認しています。ただし、レイアウトが一部想定通りにならない点やサウンド機能は動作しません。致命的な問題は無いようですが、細かな点では他にも問題があるかもしれません。なお、ブラウザの初期状態のままでROOTS Freeを使えるはずですが、個別にJavascript(アクティブコンテンツ)の動作を禁止している場合は設定で許可するようにして下さい。

→ AD-BOOK「ROOTS Free」を体験する。