■COSMOLIGHTのAD-BOOKとは

AD-BOOKシリーズの一例:AD-BOOK "ROOTS"
上部にはページ情報等を表示するインフォメーションバーとQuickメモリー(電子しおり)機能を搭載。
右のコントローラーによって多彩なページ操作を実現します。

AD-BOOKとはADVANCED BOOKの略で、かつてCOSMOLIGHTが推進した電子ブックの総称です。ソフトウェアの分類では電子ブックビューワーの位置付けになりますが、コンテンツとブックビューワーが一体となって動作する仕組みになっているため、書籍自体を電子ブックと呼んで差し支えないと考えています。今世紀初頭に開発に着手し、10年近くに渡って研究・開発を続けました。現在は開発を終了していますが(2022年再開)、かつて自身が描いた理想はほぼ達成できたのではないかと思っています。完成度に関してはコードも含めて色々と未熟な面もありますが、様々な試行錯誤を通じて持てるアイデアを全力で追求したつもりです。開発ストーリーも含めて詳細は随時紹介するとして、まずはAD-BOOKの概要を簡単に説明しましょう。

大原則として、AD-BOOKはブラウザ上で動作することを覚えておいて下さい。ブラウザはホームページを見るだけのものと思われがちですが、実は様々なコンテンツを表示または実行する環境を提供するツールなのです。その代表的なものが、ホームページでお馴染みのHTMLドキュメントであるわけです。HTML自体はハイパーテキストと呼ばれる文字で構成されていて、ブラウザとは本来はHTMLでできた文章を、インターネットを通じて読む目的で作られたものです。その一方で、ブラウザは画像を表示する機能も備えています。つまり、これらのデータで作られたドキュメントであれば、ブラウザを使ってホームページと同じように見ることができるわけです。

AD-BOOKでは電子ブックを構成するコンテンツのページに、HTMLドキュメントまたは写真等で一般的に使われるJPEG画像を使用します。AD-BOOKがブラウザ上で動作することで、これらでできたページを一定のルールで読み出して本のように画面に表示するわけです。JPEG画像はビットマップと呼ばれる画素の集まりを圧縮しただけのデータのため、ディスプレイに表示可能なデータは全てJPEG画像化できます。つまり、JPEGで収められたあらゆるドキュメントを、AD-BOOKでは電子ブック化して読めるわけです。ブラウザにはJavascriptと言うインタープリタ(順次命令を実行して動作する)型のプログラム言語が搭載されています。HTMLによってJavascriptを利用すれば、動的かつインターラクティブなコンテンツを実現することができ、映像やサウンド等も含めることができます。もうお分かりだと思いますが、AD-BOOKはこれらを利用することで、極めて柔軟性の高い先進的な電子の本を実現できたのです。AD-BOOK自体がJavascriptで作られていることから、ブラウザといかに親和性が高いかを理解頂けるのではないでしょうか。