5.高機能を極めたAD-BOOK「edia」

AD-BOOKの次なる進化として、何よりも高機能を目指して実験的に取り組んだのが「edia(イーディア)」です。この名は[e」と「media」の造語です。娯楽である「entertainment」、簡単に読む「easy」、紙媒体を使わない「eco」といった具合に、「e」には色々な意味が込められています。そして電子ブックという媒体「media」と合わせて「edia」としました。実験的と最初に述べましたが、この電子ブックで初めて商用を強く意識し、新しい電子ブックの可能性を追求することとなったのです。ediaには当時持てる技術と知識を駆使して、電子ブックに必要と思われるあらゆる機能を搭載しました。唯一実現できなかったのは、edia自身の機能によってコンテンツの拡大・縮小ができなかった点です。画像はともかくHTMLのページでは本来不可能なことで、拡大・縮小はブラウザ自体で行う以外には方法はありませんでした。ただし、AD-BOOKシリーズは元々ページサイズフリーの設計のため、細かな内容表示には最初から大きなサイズのページを用意すれば良いため、必ずしも必要な機能では無いとも考えています。

 

上図はediaの開始ページ(起動プラットフォーム)です。ここで起動オプションを選択できます。ediaも他のAD-BOOKシリーズ同様に画面表示を有効に行うために、独立したウインドウを開いて電子ブックを表示します。本来はコンテンツ保護のため、インターネット上からアクセスする場合はプラットフォームを経由せずに自動起動させたり、元のページを別のページに自動誘導する等のセキュリティ対策を講じていましたが、edia開発後にブラウザにポップアップブロック機能や強制的なアドレス表示が追加されたことで、最終的にはセキュリティ機能を無効にしています。

実を言うと、ブラウザによるセキュリティ強化は、AD-BOOKシリーズにとって致命的なマイナスポイントになりました。当時、インターネットの世界ではウイルスや悪意あるホームページが徐々に広がりを見せ、際限なくウインドウを開き続けたり犯罪の温床となるサイトへ誘導するなど、弊害が重大な問題になりつつあった時期でもあります。これらに使われる技術の中には、AD-BOOKの持つ機能と似たものも含まれ(例えば自動でウインドウを開閉したり、スクリプトを解釈して自動的に実行する等)、結果的にブラウザのセキュリティ機能によって動作を制限される事態にもなったからです。この時、2つの点で問題が起こりました。1つはローカルの環境で実行した時、InternetExplorer等ではあらかじめブラウザの初期設定の変更が必要なこと、もう1つは必ずURLがページに表示されるようになったことで、AD-BOOKのコンテンツの場所が知られてしまうことでした。こうなると誰でも簡単にAD-BOOK自体も含めてダウンロードできてしまうことから、コンテンツの保護が不可能になりました。一時は暗号化の導入等も考えましたが、結局は焼け石に水の対策にしかならないことで見送りました。

ediaの主画面は下図のようになります。これは見開きモードで表示した場合で、もちろん単ページでの表示も可能です。

 

ediaは紙媒体の書籍と同じように、コンピューターディスプレイ上で本を楽しむための電子ブックです。本のように見開きで表示(または1ページ単位表示も可)し、操作ボタンによってページめくりを行って読み進めて行きます。見開きで重要なのは本の進行方向です。縦書き・右とじのページ進行は左方向で、横書き・左とじのページ進行は右方向になります。ブラウザも含めて一般的な西洋書物は右ですが、ediaなら右も左もワンタッチで変更できるので、コンテンツに合わせて最適な読書ができ、自由な本の構成を実現します。

ブック内のコンテンツは章とページで管理しており、長編作品や作品集等のボリュームのある本の電子ブック化にも対応します。ediaには他の電子ブックには無い様々な特長があります。ediaは、本のページデータに汎用性の高い画像(JPEG)とハイパーテキスト(HTML)のどちらでも使用できます。一般的なオーサリングソフトのように専用のデータ形式を持ちませんから、長期に渡ってデータの有効性が保たれます。しかも汎用データですからホームページや他のソフトとデータを共用して効率的な運用ができます。ブラウザ上で動作するこ電子ブックですから、ブラウザに搭載された柔軟で強力なプログラミング言語「Javascript」を利用して、動的かつインターラクティブなページを実現できます。特別なプログラミングツールも不要で、ビギナーの方にも比較的簡単に扱えます。

ediaの画面上部にはチャプター(章)、メインタイトル、サブタイトル、現在ページ/チャプター全体のページ数を表示します。見開き時はそれぞれのページ上部に関連情報を表示します。後述するNAVIやページ移動ボタンと連携することで、本の中を自由に移動したり、現在のページ情報を把握することができます。画面中央エリアはメインとなる作品や関連コンテンツを表示します。内蔵型の操作パネルの場合(ediaは操作パネルをリモコンのように別ウインドウに切り離す事が可能)は右側にコントローラーが表示され、必要十分な機能を提供します。操作性を最重点にレイアウトしたコントローラーは、頻繁に使用するボタンを大きくしたり、配置に工夫を凝らしたりと実用性を追求しました。頁単位やチャプター単位での移動、直接指定や履歴逆行、目次やしおりでの移動等、あらゆるページ移動手段を提供します。

●多機能性の追求
ediaにはAD-BOOKシリーズの魁となった多くの機能が搭載されています。その一端を紹介しましょう。

<自動ページめくり&スクロール機能>
制御をediaに任せて読者はページを操作することなく読み進めるもので、速度は5段階から選択することができます。ページの最初と最後に静止期間を入れることで、読みこぼしの低減を図りました。ブック制作時に基本表示時間を設定しますが、付属のHTMLテンプレートを使えば、増減値の秒数を記入するだけでページ毎に表示時間をコントロールできます。(IPC機能)
<サウンド機能>
BGMや効果音により、紙媒体では不可能な音による効果を演出します。
(注)コンピューターの環境によりサウンド出力が制限されたり意図通りの再生ができない場合があります。
<マルチストーリー>
ページ表示を拡張形式に設定すれば、外部ファイルを利用した拡張プログラムによって複数のページから1つを選択表示させたりすることができます。これを応用すればマルチストーリー作品等も実現できます。本機能はedia独自の機能です。
<コマンドによるブック制御>
ページからブックビューワーを制御するコマンド、AI(AD-BOOK Instructions)も実装しています。コマンドには、ビューワーの内部変数値を調べるものも含まれます。本機能はedia独自の機能です。なお、ページ移動コマンドはROOTS等にも実装されています。
<デモンストレーション>
AUTO機能を応用したデモンストレーションモードでは、ブック開始から自動ページ送りを行い、エンドレスに内容を表示して見せます。これにより、自動運用で内容を効果的にアピールすることができます。デモ中はDEMOのマークが点滅して知らせます。本機能はedia独自の機能です。
<インターネットへの公開>
自サイト内にediaごとアップロードしてプラットフォームとなる開始ページへリンクを張れば、ネット上からホームページを通じてediaを直接閲覧できます。

簡単にediaの仕様を説明しましょう。これらの他にも数多くの特長を備えています。

<ediaの仕様>
●画像のページとHTMLのページを混在してブック構築可能。表示時にページタイプを自動判別するため設定が簡素化。
●理論上の最大章数は9999章、各章の最大ページ数は9999ページ。(理論上の最大ページ数は約1億ページ)
●自動ページ送り&スクロール機能搭載。
●IPC機能により自動ページ送り時におけるページ毎の表示時間を設定可。本格的な自動読書環境を実現。(ediaのIPCはROOTS等とは実現方法が異なります)
●電子ブックウインドウをディスプレイ上で最大表示。そのため、大きなディスプレイでは、より大きなコンテンツを無理なく表示。
●操作パネルが内蔵型と外部型を選択可。
●BGM(各章毎に1つ)に加え、効果音・音声をサポート(ページに簡単に音声・効果音を付加可)。BGM・効果音・音声の3トラック独立型。
●ページ履歴機能(最大20ページ)でページをさかのぼって閲覧可。
●ページ側からブックビューワーを制御する各種コマンドを発行可。
●ブラウザ上で動作するため、ローカルのパソコンでもインターネット上でも閲覧可能。動作のためのプラグインも不要。
●ネット公開時のセキュリティ機能を強化。→ブラウザ側の仕様変更により後に廃止。
●ブックマーク機能により、10ヶ所までのページを記憶しておくことができます。ページ移動は1クリックでOK。簡単・便利な電子しおり(Quick Memory)搭載。
●ページ表示に拡張形式をサポートし、マルチストーリー等を実現可。
●デモモードにより自動運用が可能。

ediaには電子ブックに求められるあらゆる機能を搭載しましたが、一方でプログラムの複雑化やメンテナンス性の低下などの弊害も見受けられます。複雑になれば動作に不具合を起こす可能性も高くなりますし、ブラウザの仕様変更等の外部要因によって動作に問題が出ることも考えられます。自動ページ送り&スクロール機能やマルチストーリー機能等はまだまだ改良の余地があるものの、他には無いユニークな機能を搭載したことで、電子ブックの可能性も提起できましたし、機能強化の流れもここで1つの区切りにすることにしました。




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