1.COSMOLIGHTのAD-BOOKとは

AD-BOOKとはADVANCED BOOKの略で、かつてCOSMOLIGHTが推進した電子ブックの総称です。今世紀初頭に開発を開始し、10年近くに渡って研究・開発を続けました。現在は開発を終了していますが、自身が描いた理想はほぼ達成できたものと思っています。まずはその概要を簡単に説明しておきましょう。

AD-BOOKでは、電子ブックのページにホームページでお馴染みのHTMLドキュメント、またはJPEG画像を使用します。ページを開く際に自動的にドキュメントがHTMLか画像かを判別するため、1つの本の中にランダムに両者を混在させることができました。ディスプレイに表示可能なデータは全てJPEG画像化できるため、あらゆるドキュメントを電子ブック化できたわけです。しかも、HTMLのページにはJavascript等によって動的なコンテンツやサウンド等も内包でき、極めて柔軟性の高い先進的な電子の本を実現できました。

COSMOLIGHTの電子ブックの集大成となったAD-BOOK「ROOTS」



上部にはページ情報等を表示するインフォメーションバーと
Quickメモリー(電子しおり)機能を搭載。
右のコントローラーによって多彩なページ操作を実現。

AD-BOOKシリーズの最後となったROOTSは、それまでのAD-BOOKによる様々な実験を通じて機能を絞り込み、実用に徹した形で実現したものです。理想を追求した結果が原点回帰だったことから、ROOTSという運命的な命名となりました。AD-BOOKが単なるブックリーダーで無いのは、構造そのものが電子ブックを構築するベースになっているからです。オリジナルの電子ブックを作るのも簡単で、フォルダアクセスの基本さえ理解していれば誰でも作れるようになっています。ページ自体はホームページ作成ソフトやペイントソフト等によってあらかじめ用意する必要がありましたが、これらはむしろ各人が使い慣れたソフトを利用すれば良いわけで、新たな知識を極力必要としない点でも優れていたと思います。

ただし、AD-BOOKはブラウザの機能(具体的には搭載するJavascript実行環境)を利用するため、動作の根幹はブラウザの機能に依存せざるを得ません。当時はブラウザやプラットフォームの違いによる互換性の問題や、深刻化するセキュリティへの対策強化等によって、ブラウザ自体の進化が著しかった時期でもあります。度重なるバージョンアップによって、バグが修正されたり機能が変更されたりと、その度に対応に追われて大変でした。

AD-BOOK自体がJavascriptで作られていたこともあって、プログラムが自由に改変できるような状態にあり、やがてセキュリティ面での障害が大きな壁となっていきます。更に言えば、内包するコンテンツも簡単に第三者が取得できてしまい、利用範囲が大きく制限されてしまう可能性がありました。電子ブックの利用環境までも考慮しなくてはならないのでは、さすがに手に余ります。それでも最終版のROOTSならInternet Explorer 7、8辺りまでは、他のブラウザも含めて何とか対応を図りましたが、それ以降は原因不明のトラブル等に見舞われて、やむなく開発を断念するに至っています。現在のepub形式用リーダーよりも機能と使い易さで優れている点が多かったのですが、今後の再開発の予定はありません。

元々AD-BOOKの開発は自身のコンテンツを公開するのが目的だったので、他に手段があればそれを利用する方が近道です。幸いepub形式の電子書籍と、それを読むためのブックリーダーが台頭してきたこともあり、今後はその環境を使ってコンテンツの制作に重点を置くつもりです。AD-BOOKには様々なバリエーションがありましたが、次項からはそれぞれについて個別に解説していきます。




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