2.ドローイラスト集関連

(1) ドローのメリットとは

ドローで描かれたイラストの最大のメリットは解像度に依存しないことです。そのため画面表示でも印刷でも、装置の持つ最大限の能力を活かして美しい出力が得られます。また、ビットマップに比べて極めてデータ容量が小さいメリットもあります。このような利点は特に印刷で真価を発揮することから、主にDTPの分野で活用されています。

別名ベクトルグラフィックとも呼ばれ、データは方向と大きさを持つ数学的なデータで記述されており、保存容量はビットマップに比較して遙かに小さくなります。印刷には高解像度のデータが必要なために、ビットマップだと画像サイズの2乗に比例してデータ量が莫大になりますが、ドローを使えば小さなデータ量で済むので、メモリーもマシンの処理能力もそれほど高い物を要求しません。このデータ量が小さい事を活かして、最近ではアニメーションの分野でも利用されるようになりました。Macromedia社のFlash等はベクトルアニメーションを実現するソフトウェアで、WEBでもFlashで作られた画像をしばしば見かけます。

ドローは容量のメリットの他にもたくさんの優れた特長があります。中でもイラストがオブジェクトと呼ばれる部品によって構成されている点は特筆すべきことです。Photoshopでもレイヤーを使って部品単位に分割して描くことは可能ですが、ドローでの扱いの利便さはビットマップの比ではありません。しかもオブジェクトを構成する線はベジェ曲線と呼ばれる自由曲線のため、ハンドルを使った編集機能によって自由に描き変える事ができます。操作には多少の慣れが必要ですが、簡単な形状ならすぐに描く事ができるようになります。部品単位で少しずつ作っていけば、大規模なイラストも比較的容易に実現できます。

ドローも最近では半透明にしたりすることもできるなど着実に進化しています。また、ソフトウェアによってはまるでビットマップで描いたようなイラストも描けるものまで出てきています。いずれはビットマップとドローの境界が無くなってしまうかもしれませんが、やはりドローが得意とするのは図形や線画など輪郭がはっきりしていて同じ色のエリアが広い物です。写真や水彩画、油絵等のように微妙なタッチと陰影を表現することは苦手であり、せっかくのデータ量が少ないメリットもこうした物では活かすことができません。ドローとビットマップはケースバイケースで使い分ける、あるいは合成して利用することが大切です。